ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 彼岸花の花冠(まだまだオリキャラ募集中!) ( No.24 )
日時: 2011/08/15 22:29
名前: いさと ◆o4wie.Wyc. (ID: I3lm3qcr)

第二話 Misa side...


 みさ達が出発する三日前のこと。人間たちが住んでる最大の都市『ヒューマメイザ』ここにANの本部がある。

 そして高層ビルでもあるAN本部の最上階に人影が二つあった。


「……と、言うわけです。長」

「ご苦労No13。引き続き任務を依頼しよう」

「はっ」


 長身で黒髪の青年が“長”と呼ばれる人物に敬礼し、部屋を出た。


「(思ったより報告が早く終わった。久しぶりにロジーヌさんのところに顔を出すか)」


 その長身の青年が、地下へと続くエレベーターに乗り“開発室”へと向かった。

 “開発室”の扉を開けると、熱気でむわっと感じたが青年はこれを慣れてる様子で一人の女性の元へ足をはこんだ。


「ロジーヌさん」


 ロジーヌと呼ばれた女性(見た目30代後半ぐらい)はなにやら弾丸を作ってる様子だった。そして青年に振り向くと笑顔で答える。


「お、ディザスタじゃないか! 久しぶりだねぇ。どうしたんだい? こんな朝早くに」

「長に報告したんでその帰りに寄ろうと思って」


 ディザスタ、それが青年の名前だった。ディザスタはロジーヌが開発している弾丸を手にとった。


「これは……? 見たことない型ですね。対獣龍族の麻酔弾か何かですか?」

「あー……、それは内緒だよ。キングからの命令でね。なんでも“黒の死神”ちゃんに渡すんだと」

「“黒の死神”? あぁ、ミサのことですか」

「まぁ、それはおいといて……、一つあんたに頼みがあるんだけど」

「またタダで仕事任せるとか言うんじゃないでしょうね」


 ディザスタが呆れてロジーヌの顔を見る。するとロジーヌがムっとした顔で、


「いいだろう? アタイは金がないんだ!」

「酒に使う金があったらこういう時のために残して置いたほうがいいと思うんですけど」

「だー! うるさい!」


 図星だったらしく、ロジーヌは慌てる。が、なんとも意地悪そうな顔でディザスタに言い返した。


「……いいのか〜? ディザ……。あんたが実はロリコンだってこと皆にバラしても……」

「っ……! そ、それは……!」


 そう、ディザスタにはロリコン癖があった。これはロジーヌだけが知っている完璧そうに見えるディザスタの唯一の弱みでもあった。


「嫌だろぉ? ならさっさと頼まれな!」

「くっ……! わかりましたよ!」
 

 ディザスタは大きなため息をつくと、ロジーヌに改めて聞いた。


「で、なんなんですか?」

「あぁ、実はね、屍人について調べて欲しいんだ」

「屍人……。人間が狂気に取り込まれた成れの果て……。そんなの調べてどうするんですか?」

「あいつらには普通の攻撃は通じない。知ってるだろ? だから弱点を調べて欲しいってわけだ」


 そう、屍人には普通の攻撃は通じない。だから人間は対抗する術がないから逃げる。獣龍族は屍人について知らない。だってこれは“人間”がなるのだから……。


「あんたの腕っ節を信頼して言ってるんだ。改めて言うけど頼めるかい?」


 半ば強引に話をしてきたロジーヌだが、ディザスタに改めて聞いてみる。


「……はぁ。仕方ないですね、いいですよ。バラされたくありませんからね」

「そうこなくっちゃ! いやー、助かるよ! お礼はこの酒でいいかい?」

「まだ酒は飲めません」


 やっと仕事が一段落ついたのに……。そうディザスタは思ったがロジーヌには逆らえない。それに彼女にはいつも世話になってる……というのもある。


「(屍人か……。明日にでも調べに行こう)」