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　複雑な家庭環境に育った。
　私の誕生と同時に母は逝き、
　酒に溺れていた父も
　私が小学2年になる年の冬に逝った。


　それでも幸せだった。
　周囲からの目こそは痛い物の
　大切な仲間がいて
　大切な彼氏がいて
　大切な場所があった。


　暴走族に入ったことへの
　後悔なんてひとつもない。
　はずだったのに——。



　「 おねえちゃん、サチと遊ぼう 」

　「 サチお友達いないの。お友達欲しい。」

　「 おねえちゃん、もう行っちゃうの? 」



　表情をまるで失った貴女は
　天使なの? それとも——。