ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 《インフィニティ・オンライン》 ( No.9 )
- 日時: 2011/08/15 17:13
- 名前: 神凪夜草 ◆Upy4wcs9SI (ID: 4CT2wXi/)
《イン・ワールド》というゲームハードが発売されたのは約3年前のことだ。画期的なハードとソフトを開発し、急速に大きくなっていったゲーム会社グレールによって開発された。
大きなイヤホンのような変な形だが、その昨日は凄まじい。イヤホン部分から発せられる電波により、脳に信号を送り込み、意識をゲームの中に引きづり込む。安全性は完全という話だ。
ゲームの世界へ入れる、という触れ込みで発売された《イン・ワールド》の売れっぷりは普通ではなかった。即日完売、全国のイン・ワールドが正午にはもう無くなっていたと言う話だ。発売されたのが夏休み中と言うことで、俺は4日前からゲーム発売の列に並んだ。辛い戦いだったが、《イン・ワールド》を手にしたときの喜びは言葉では言い表せない。
だが、問題があった。ハードは素晴らしかったが、ソフトが駄目だった。どうぶつの森の様な、ほのぼのとした生活系ゲームは多く発売されたのだが、モンスターハンターのような激しい戦闘系のゲームが技術的な問題により作られなかった。ゲーム内での激しい戦いを想像していたプレイヤー達は大きく失望した。
だが、一年前。衝撃的な情報がグレールによって発表された。
《インフィニティ・オンライン》。
《オズガルド》という異世界を舞台としたゲームだ。モンスターが跋扈する未開の地を開発していく、というのがゲームの大筋だ。主人公は剣や槍、銃と言った武器と防具を装備し、まだ誰も入ったことのない土地を世界中のプレイヤーと協力して攻略していく。
短い説明文を読んだときの俺の胸の高鳴りは今でも覚えている。
土地を開き、人間の住める場所を増やしていく。そこで家を建てて生活したり、農業や漁業、防具屋武器屋といった商売も出来る。戦いだけではなく、ほのぼの系の要素も取り入れた、今までにない新しいゲーム。
俺は発売を待ちわびた。
公式ホームページで少しずつ明かされていく情報に胸を躍らせながら一年過ごした。数万と発売される初回版の内、十名だけが特別な機能付き、と発表されたときにはどこにそれがあるかなんて考えたものだ。
発売される一週間前から並び、俺は売り切れ寸前でようやく《インフィニティ・ワールド》を手に入れた。パッケージを掴んだ瞬間、何故か涙が出そうになって慌てたのは良い思い出だ。