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Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.10 )
日時: 2011/08/27 21:05
名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
参照: 今日の一言「ブドウは皮ごと食べぬかたわけがっ!」

第2章≪始動—スタートアップ—≫③




「ひどいな……なんだこりゃ」

銃撃戦のあった工具店ではすでに警察による調査が始まっていた。

刑事、秋庭努(あきば つとむ)は惨劇と化した店内を眺め、嘆息した。

「秋庭刑事」

若い警官が秋庭の姿を認めてやってきた。

「ご苦労さん。被害状況は?」

「はい。銃を持った男が4名死亡、1名が気絶していました。意識の回復を待って事情聴取を行います。それから、地下に外へと通じる扉を発見しました。犯人は恐らくすでに逃走したものと思われます」

「そうか………しかし日本で銃撃戦とはな…」

秋庭が呆れたように言った。警官も深刻な表情だ。

「刑事。確か、この店は……」

「ああ。暴力団のアジトとしてマークしていた場所だ。とはいえ今まで暴力団関係者と思われる集団との密会だけに留まっていたはずだが……匂うな」

「他の暴力団とのトラブルでしょうか?」

「恐らくな。とにかく気絶してた奴に話を聞かないと—」

「刑事!!」

その時、店内を捜索していた別の警官が声を上げた。

「どうした?」

「隠しカメラのようなものを発見しました!!」


























「まずったな……」

何とか外に脱出し、車から武器を持ち出すことに成功した天城だったが、状況は最悪と言ってもよかった。

木島を取り逃がした上に、警察が動き出してしまったので、今後の捜査は厳しいものになるのは明白だった。

(………けど、俺に出来ることは限られてる)

天城は気持ちを奮い立たせ、アレックスに電話をかけた。

アレックスはワンコールで出た。

『倫太郎、大丈夫か?』

「ああ、なんとかな。けど奴らと銃撃戦になって、警察が来ちまった。もしあの店に監視カメラかなんかあったら、俺は殺人犯として追われることになる」

『そうか……まずいな…それで、今後は? いったんこっちに戻るか?』

「いや、現状は厳しいけど、木島たちを追おう。まだ遠くにはいけてないはずだ。その後の足取りはつかめたか?」

『衛星で追ってるが、どうも奴らは東京から出るようだな。迎えの車に乗ってどんどん離れてくぞ』

天城はピクリと眉を寄せた。

「あらかじめこういう状況は想定してあったようだな……どこに具体的にどこにいったか分かるか?」

『この方向だと………横浜だな』

「横浜か………じゃあ、俺も横浜へ向かう。もし奴らが進行方向を変えたり、止まったりしたら教えてくれ」

『了解。それじゃあ気をつけてな』

「了解」

天城は通信を切って立ち上がった。

「横浜か……」

武器とパソコンの入ったバッグを背負い、天城は走り出した。

















「クソッ! 何なんだあの野郎は!」

木島博は苛立ちのあまり車の窓を思い切り叩いた。

得体の知れない男によって何年もかけた計画が崩されかけたのだ。

木島の怒りは時がたつごとに増していっていた。

(奴は警察じゃねえ。銃さばきといい、身のこなしといい……俺たちが北野さんに習ったものと良く似ている……奴はまさか!?)

木島は背筋の凍る思いがした。

「有り得ない…そんなはずは」

「? 木島さん? どうしたんですか?」

運転していた男が怪訝そうに木島を見る。

「お前……デルタフォースに詳しかったよな」

「? ええまあ、一応……」

「あいつらは単独行動を取るのか?」

男は少し考えた後、答えた。

「いえ、よっぽど特殊な状況下でない限り、ないと思いますけど」

「そうか…………」

やはり何かおかしい。木島はそう確信した。

そして携帯を取り出し、とある番号をプッシュした。


















「もしもし」

とある写真を眺めながら、北野義章は電話に出た。

『北野さん。ニュースは見ましたか?』

「ああ。襲撃されたそうだな。誰がやられた?」

『井坂と一之瀬、芳賀、長崎です。野宮が警察に捕まりました』

「そうか……惜しい人材を失ったな…お前は?」

『私は大丈夫です。今隠れ家に向かってます』

北野はゆっくりとうなずいた。

「よし、気をつけてくれ……ところで、誰にやられたんだ?」

一瞬沈黙があって、木島は答えた。

『そのことなんですが………正体が分かりません。警察ではないのは確かなんですが……凄腕です。しかも、恐らく元デルタフォースです』

北野の目が驚きに見開かれた。

「デルタフォース……? そんな奴が何故…?」

『分かりません。しかしあなたに教わった技術を、しかも相当に完成されたレベルで使いこなしていました』

「なるほど…………そいつは注意が必要だな。写真はあるか?」

『はい、すぐに送ります』

「そうしてくれ。奴には【ゴースト】をやる」

『そう、ですか……了解しました』

若干のためらいを見せ、木島は電話を切った。

北野は両手を組み、ニヤリと笑った。






「フフ………さて、正体不明の元デルタフォース。腕前を見せてもらおうか」