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Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.11 )
日時: 2011/08/30 23:30
名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
参照: 今日の一言「やめて! もうホッケのライフは0よ!」

第2章 ≪始動—スタートアップ—≫④



「誰なんだこいつは?」

秋庭が監視カメラに移っている男—天城倫太郎を指差した。

「分かりません。日本人のようですが、顔認証にかけても引っかかりません」

傍にいた警官は困惑したように答える。

「そんなバカな。それじゃあこいつは名無しの権兵衛か?」

「現時点では……正体不明です」

秋庭は額に手をやった。

「クソ! 手がかりなしか……」

秋庭が唇を噛みしめていると、慌てた様子で同僚の刑事、三上が駆け込んできた。

「おい秋庭! 例の男、見つかったぞ!」

秋庭は顔を上げた。

「何っ!? どこだ!?」

「東京駅付近だ! 電車に乗るつもりらしい!」

それを聞くと、秋庭は「よし」とつぶやいた。

「分かった、直ぐに行こう! 電車は停めるんだ!!」

「もうやってる!」

何としても自分の手で凶悪犯罪者を—秋庭は興奮にも似た感情を覚えながら駆け出した。

















『本日は都合により全線運転中止です。全線運転中止です』

東京駅構内は突如運転が停止したことによって、騒然としていた。

「何なんだよ! 何で運転しないんだ!!」

「責任者出せ!!」

人々の怒号が響き渡る中、天城は冷静に事態を判断しようとしていた。

(事情も明かさず全線停止……何らかの機関による指示に間違いない。考えられるのは警察だが………まさか!)

天城は数秒で答えを導き出した。

(俺は追われているのか!)

そう考えれば、辻褄が合う。銃乱射の凶悪犯罪者の逃走を防ぐためなら多少の混乱は厭わないのは当然ともいえる。

(あの店に監視カメラかなんか仕掛けてあったのか……くそ! 重ね重ね、やっちまったみたいだな……けど、反省は後だ!)

そう、今の天城に必要なのは自らの失敗を省みることではなく、ここから逃げ出し、警察の包囲網を突破する方法を考えることだった。

(とにかく警察が来る前にこから逃げ出さないと……!)

天城はそう決断し、出口に向かって動き出した。

が、その時、彼は背後からの視線を感じた。

「………!?」

振り返ると、そこには全身黒ずくめの男が立っていた。

格好も異様なら、かもし出す雰囲気も異様だった。

混ざりけのない、純粋な殺気。

天城は全身の筋肉が強ばるのを感じた。

そして次の瞬間、男のコートの内側にあった、不気味に光る銃が視界に入った。

















「な、何だ!?」

東京駅についた秋庭たちは、目の前の光景に思わず見入っていた。

人が、駅の中から我先にと飛び出してきている。

まるで何かを恐れるように、必死に生き延びようとしているように。

秋庭は逃げてくる人々から、1人の男を捕まえた。

「すいません! 何があったんですか!?」

「じ、銃を持った男が撃ち合いを……!!」

男はそれだけ言うと、秋庭の腕を振り払って逃げていった。

「また銃撃戦を……!? おい、突入するぞ! 安全装置外しとけ!」

秋庭は拳銃を構え、東京駅に突入した。

















「ちっくしょう………なんだあいつは!?」

柱に隠れながら、天城は男の様子をうかがった。

周りに人がいるにも関わらず、黒ずくめの男は発砲してきた。

何とかかわして柱に逃げ込んだ天城だったが、無関係の一般人が数人凶弾に倒れた。

今も男は天城を亡き者にしようと攻撃を仕掛けてくる。

(この動き………プロの殺し屋か!? 俺の存在は北野にも筒抜けだったか…!)

天城はどんどん悪くなる状況に、歯がゆさを覚えた。

しかし、状況は天城に葛藤する時間を与えなかった。

(一か八か……奴を倒すか…?)

天城が必死に作戦を考えていると、また新たな銃声が聞えた。

「警察だ! 銃を捨てろ!!」

「警察……しまった!」

天城が様子をうかがうと、黒ずくめの男に十数人の警官が銃を突きつけている。

「銃を捨てて、両手を挙げろ!」

「…………」

男に反応は無い。

「銃を捨てろ! 撃つぞ!」

「……………」

男は銃を高々と放り投げた。

思わず警官の視線が銃に向く。

その隙を突いて、男は隠し持っていたもう一丁の銃で発砲した。

「ぎゃっ!!」

不意を衝かれた警官たちは一瞬にしてその数を半分ほどに減らしてしまった。

慌てて撃ち返すが、既に男は柱に隠れてしまっている。

「くそ! 撃て! 撃てーーーーーっ!!」

パニックになった警官たちは突撃を開始した。

(来ちゃダメだ…!!)

天城が警告しようとした時には、既に大半が撃たれていた。

残っているのは、スーツ姿の刑事と見られる男2人だけだ。

明らかに不意をつかれ、動きが止まってしまっている。

「おい! ぼーっとするな! 死ぬぞ!」

天城が大声を張り上げる。

その声に反応して、刑事たちは柱に向かって駆け出したが、1人が銃弾の餌食となった。

「み、三上ーーーーーっ!!」

柱に隠れた刑事の絶叫が響く。

「く………っそおおおおお!!」

天城は黒ずくめの男を狙って引き金を引いた。

隠れた刑事も発砲している。

「………!」

状況が不利と見たか、黒ずくめの男は牽制に何発か発砲すると、どこかへ逃げてしまった。

その様子を見ると、天城は地面にへたり込んだ。

「………ちくしょう…!!」







自分の無力さを噛みしめ、天城は思い切り柱を殴りつけた。