ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.12 )
- 日時: 2011/09/03 11:45
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
- 参照: 今日の一言「精神と時の部屋に入りたい」
第3章≪負渦—ラビリンス—≫①
『繰り返しお伝え致します。東京駅で銃乱射事件が発生しました。死者は少なくとも17人です。先程起こった工具店銃乱射事件の犯人はまだ逮捕されておらず、警視庁は2つの事件に何らかの関わりがあると見ています』
「ちょっとこれどういうこと……!?」
卯田が青ざめた顔でテレビを見つめる。
「間違いなく獅子の牙とかいう連中の仕業だろう。天城に何もなければいいが……」
うろたえる卯田とは逆に、岬は至って冷静だった。
結局2人が追っていた北野の偽名は、空港でタクシーに乗って都内のデパートに行ったという所で途絶えてしまっていた。
万が一偽名を追った人物がいても、居場所を特定させない北野の用意周到さだけが2人に分かったことだった。
「天城さん……やっぱり…」
「2つの事件には巻き込まれたんだろうな……それにしても、まだ俺たちが捜査を始めてから数時間しかたってない。それなのに奴らはもう対策を立ててくる。思っていたより、北野は出来る」
2人の間に重い空気が流れる。
「岬さん……私たちこれからどうすれば……」
卯田がすがるように岬を見る。
岬は少し考えた後、答えた。
「天城に連絡してみよう。北野の偽名が追えなくなった今、天城が追っている木島が唯一の手がかりだ」
岬は携帯を取り出し、天城に電話をかけた。
遡ること数分。
東京駅で辛くも黒ずくめの男を退けた天城は、ともに生き残った刑事、秋庭と共に駅から脱出した。
警察に警戒しながら、人目につかない路地で2人は腰を下ろした。
「おい、大丈夫か?」
「………貴様!」
秋庭はいきなり体を起こし、天城の胸倉を掴んだ。
「工具店の男だな!? さっきの男は何者だ?」
天城は秋庭の手を静かに振り払った。
「俺にもわからないんだ。電車に乗ろうと思ったらいきなり襲われた」
「信じられるか! お前が発砲したのは知ってる!」
「それはあっちが撃ってきたからだ。分かるだろ」
秋庭はそこで口をつぐんだ。
「俺が何で銃を持ってるのか、何をしてるのか、全部教える。だからまずは俺と一緒に来て欲しい」
「……!? 何を言っている?」
秋庭は困惑した表情を見せた。
「すぐには信じられんかもしれないけど、この国は今テロの脅威にさらされてる。俺は警察に捕まるわけにはいかないんだ。協力してくれ」
「…………それは…」
秋庭にも、これはただのヤクザのケンカではないことぐらいは分かっていた。
先程の黒ずくめの男といい、今起きている事態は尋常ではない。
秋庭の決断は早かった。
「俺は…俺は、ついさっき警官になったときからの相棒を失った。俺はあの黒ずくめが憎い」
「…………」
「お前と一緒に行けば、敵は取れるか?」
「……ああ、取れる。約束する」
天城ははっきりと答えた。
秋庭はゆっくりとうなずいた。
「…分かった。お前と一緒に行こう」
「すまない。感謝するよ」
天城は頭を下げた。
「いいんだ。それより、あんた名前は?」
「…天城倫太郎だ」
「そうか。俺は秋庭努だ。よろしくな」
「………ああ、よろしく」
2人はがっちりと握手をした。
その時、天城の携帯がなった。
「もしもし」
『天城。無事だったか……』
安堵したような岬の声が聞えてきた。
「岬さん………ええ、何とか無事です。けど、木島には逃げられました」
『そうか………木島はどこに向かったか分かるか?』
「アレックスによると、奴は横浜に向かったようです。これから向かおうと思います。そっちは?」
『偽名は辿れなかった。お前が追ってるのが唯一の手がかりだ。俺たちも横浜へ向かおう』
「分かりました。じゃあそっちで落ち合いましょう。着いたら連絡します」
天城は電話を切った。
「横浜か」
「ああ。問題はどうやって向かうか………」
「……それなら、いい考えがある」
「考え?」
秋庭は不敵に笑った。
そして、素早く天城の両手に手錠をかけた。
「……え?」
「お前は俺に逮捕される。これが俺の考えだ」