ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.13 )
- 日時: 2011/09/04 21:34
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
- 参照: 今日の一言「イケメン? 何それおいしいの?」
第3章≪負渦—ラビリンス—≫②
「お前は俺に逮捕される。これが俺の考えだ」
「お………おい!」
天城が慌てて秋庭に詰め寄る。
「焦るな」
秋庭は両手で天城を押しとどめた。
「東京駅に入った警察関係者で生き残ってるのは俺だけだ。つまり外にいた連中は俺が東京駅にいたことを知る術は無い。だからお前を騒ぎに乗じた窃盗犯としてパトカーに乗せるんだ」
「あ……ああ……そういうことか」
天城は大きく息を吐いた。
「分かったら行くぞ。ジャケットを頭からかぶれ」
「おう」
そして2人はパトカーへと歩き出した。
『ほう………お前が1回で仕留められないとはな……奴はできるか』
「………少なくとも、警察よりは」
黒ずくめの男—ゴーストは苦々しい表情で言った。
彼は獅子の牙随一の腕を誇る暗殺者だ。それ故に天城を仕留められなかったことはプライドに触った。
『ふふ……そう気を落とすな。元デルタフォースだ。そう簡単に行くとは思ってないさ。それより、奴はどこに向かったと思う?』
「…………木島を追っていくはず。ひょっとしたらアジトかもしれない」
『ふむ……………そうか。計画を早める必要があるな。お前もアジトに戻れ。体勢を立て直して一気にケリをつける』
「了解………では」
ゴーストは電話を切り、それと同時に壁を思い切り殴った。
「…………貴様は必ず俺が殺す」
激情を表情ににじませながら、ゴーストは歩き出した。
「………窃盗犯、ですか?」
警官が不思議そうにジャケットをかぶった天城を見つめる。
「ああ。騒ぎに乗じてコンビニから色々と失敬しているのを発見した」
秋庭は憮然とした表情を装った。
「それでしたら、私が署まで……」
「いや、俺はちょうど署に戻らなければいけなかったから、このまま連れて行く。このパトカーいいか?」
「え、ええ……どうぞ」
「すまないな」
秋庭は警官から車の鍵を受け取り、パトカーに乗り込んだ。
怪訝そうに様子をうかがう警官を無視して、秋庭はパトカーを発射させた。
しばらく走り、警官の姿が見えなくなったところで秋庭は後部座席に手錠の鍵を放った。
「もういいぞ」
「よし」
天城は顔を挙げ、慣れた手つきで手錠を外した。
「アレックスに連絡しないと」
「アレックス?」
「俺の仲間だ。衛星で木島を追跡しているはずだ」
天城はポケットから携帯を取り出し、アレックスに電話をかけた。
すぐにアレックスは電話に出た。
『倫太郎! 無事か!?』
「ああ、なんとか……でもこっちはだいぶ厄介なことになってる」
『東京駅の事件か………何があったんだ?』
「武装した凄腕の男に襲われた。間違いなく獅子の牙のメンバーだろうな」
『そうか………車で移動してるのか?』
「ああ……東京駅にいた秋庭と言う刑事に今は協力してもらってる」
『部外者か…………』
アレックスが嘆息気味に言った。
「……状況が状況だ。協力してもらうしかない。それより、木島はどうだ?」
『それなんだが……奴の動きが止まった。横浜の使われてない倉庫だ』
「倉庫?」
『ああ………しかもだだっ広い倉庫だ。ちょっとした市民体育館より断然広い。おそらくは奴らのアジトだ』
「……そうか。今岬さんと馨ちゃんも向かってるから、とりあえずそのアジトに総攻撃をかけるしかないな。場所は?」
『ちょっと待ってくれ…住所言うぞ……』
天城はアレックスが言った住所をしっかりとメモした。
「よし、サンキュ。倉庫の近くになったらまた連絡する」
『分かった……ああ、それと』
「何だ?」
『警察をあまり当てにするなよ。その刑事がどうこうってんじゃなくて、俺たちはあくまで極秘組織。本来その刑事は知られた時点で消さなきゃいけない相手なんだからな』
現実を再認識させられ、天城は厳しい表情になった。
「ああ、分かってる」
『ためらうなら、岬のオッサンにやってもらえ。いずれにせよ、そいつの役目が終わったら、消すんだ。いいな?』
「…………ああ」
天城は電話を切ったあともしばらく表情を曇らせたままだった。
殺さなければならない。本当にそれしか道は無いのだろうか?
その答えを容易に出せるほど、天城は感情を捨て去ることはできなかった。