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- Re: GUARDIANS ( No.2 )
- 日時: 2011/08/21 10:14
- 名前: ホッケ ◆oDRmncmQTA (ID: XL8ucf75)
第1章 ≪結成—GUARDIANS—≫①
平成23年8月16日、宮城県某所—
「おまわりさーん!」
幼い少女が間延びした声でこの村の駐在、天城倫太郎を呼び止めた。
「おお、梨花ちゃんじゃないか。どうした?」
天城は乗っていた自転車を降りて、笑顔で梨花に駆け寄った。
「あのね、風船があそこの木に引っかかっちゃったの。取ってくれる?」
梨花は傍にある木を指差しながら言った。確かに枝のところに黄色の風船が引っかかっていた。
「よーし、おまわりさんに任せろ!」
天城は軽い身のこなしでスルスルと木を上り、瞬く間に枝までたどり着くと、風船の紐を掴んで飛び降りた。
「はい、取ってきたぞ」
「おまわりさんすごーい! ありがとぉー!!」
梨花は嬉しそうに風船を受け取り、手を振りながら去っていった。
「もう飛ばすなよー」
天城も手を振り返し、姿が見えなくなったところで自転車の方を振り向いた。
「………ん?」
天城は自転車のカゴに紙切れが入っているのを見つけた。
「ゴミか……?」
紙切れを拾い上げてみると、そこにはメッセージが書かれていた。
『駐在所で待っています。天城巡査』
そこには差出人の名前はなく、目的もかかれていなかった。
「何だってわざわざこんな………ん?」
日光が紙に当たり、裏から何か模様のようなものが透けているのに天城は気付いた。
確認してみると、そこには緑色の三角形の中に白い剣と三角形になっている黄色い稲妻が入っているマークが描かれていた。
「これは……!!」
天城は巡回を早めに切り上げ、急いで駐在所に戻った。
自転車に鍵をかけるのももどかしく、天城は駐在所に駆け込んだ。
「どうしたんですか? 天城さん」
その尋常じゃない様子に、天城と一緒に勤務している卯田馨が怪訝そうな顔をして尋ねた。
「馨ちゃん! お客さん来なかった!?」
切迫した表情で天城は卯田に詰め寄った。
「誰も来てませんけど……ていうか、ホントにどうしたんですか?」
「来てないのか…………」
大きく息を吐き、もたれかかるように天城はイスに座った。
「天城さん?」
「あ、ああ………ごめん馨ちゃん。何でもない」
「…? なら、いいですけど。お茶入れますね」
「うん、ありがとう」
卯田が急須を持って台所に向かった、その瞬間だった。
「遅くなってしまいました」
「!?」
いつの間にか、駐在所の入り口に男が立っていた。
スーツを着こなし、感情を感じさせない顔で天城を見つめている。
「あなたは……?」
天城は直感的にこの男が何者であるかに気付いていたが、あえて尋ねた。
「初めまして天城巡査。私は斉藤といいます。あなたに話が合ってやってきました」
「話、ですか…」
「ええ。天城巡査、裏のメッセージはご覧いただけましたか?」
天城の表情が一気に硬くなる。
「はい。見ました」
「そうですか。ならば話は早い。あなたにはこれから極秘任務に参加していただきます」
「極秘任務?」
「はい。あなたは今日付けで政府直轄の特殊捜査機関『GUARDIANS』の捜査官として活動してもらいます」
「GUARDIANS……」
状況は未だ整理できないでいたが、天城は奇妙な胸騒ぎを感じていた。
そしてこの日以降、天城の運命は大きく変わることとなる—