ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.3 )
- 日時: 2011/08/21 10:14
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
第1章 ≪結成—GUARDIANS—≫②
「……つまり、俺は巡査の職を降りて、その……GUARDIANSの捜査官に転職しろと?」
天城は困惑した表情で斉藤に尋ねた。
「はい。急な話で戸惑うでしょうが……今から私と一緒に東京に来てください」
天城は仰天した。
「なっ…今から……!? ちょっと待ってくださいよ! まだ俺やるなんて—」
「天城巡査、いえ、天城捜査官。これは命令です。この書類を見てください」
斉藤はスーツの内ポケットから折りたたまれた書類を2枚渡した。
天城はひったくるようにして書類をもぎとり、即座に内容を確認した。
「………嘘だろ…」
一枚は、正式にGUARDIANS捜査官として任命すると言った内容のものだった。一番下には総理大臣古谷佐野助の名前が入っている。
そしてもう一枚は、天城が所属する宮城県警からの解雇通知だった。
今日この時点で既に天城は田舎の駐在ではなく、極秘組織の捜査官なのだ。
天城があまりのことに声を失っていると、茶を入れた卯田が戻ってきた。
「あれ? 何か話し声が聞えると思ったら……あ、この方が天城さんの言ってたお客さんですか?」
「あ、ああ……そうそう…」
天城は力なく答えた。
そんな天城を尻目に、斉藤は卯田に近寄った。
「? 何か?」
「失礼。あなたは卯田馨巡査ですね?」
「ええ、そうですけど………」
ここで斉藤はさらに天城の度肝を抜く発言をした。
「私は斉藤と言います。卯田巡査、天城捜査官にも同じ話をしましたが、あなたは今日付けで巡査の職を降り、極秘捜査機関GUARDIANSの捜査官として働いていただきます」
「さ、斉藤さん! 馨ちゃんもですか!?」
天城は慌てた様子で斉藤に詰め寄る。
当の卯田は、ポカンとした表情で突っ立っていた。
「天城、捜査官…? 私も、捜査官……? え、巡査辞めなきゃなの…?」
斉藤は天城を振り切り、卯田に先程と同じ2枚の書類を手渡した。
「どうぞこれを」
卯田は恐る恐る書類の内容を確認すると、色を失った。
「こっ、これって……」
呆然とする天城と卯田に対し、斉藤はキッパリと言った。
「荷物などはいりません。今すぐ私についてきて下さい」
書類が偽造されたものではないことだけを確認し、結局天城と卯田は斉藤が調達した飛行機で東京に移動した。
「東京なんて何年振りかなー」
切り替えの早い卯田はすっかり観光気分だが、天城はずっと不安を感じていた。
斉藤の裏のメッセージ、あの三角形のマーク。
そのマークを見た瞬間から、天城は常に嫌な予感がしていた。
(あのマークを書いたってことは、やはりそういうことなのか…?)
天城が思考をめぐらせながら歩いていると、いつの間にか人影がない路地に出ていた。
「へえ……東京にもこういう路地裏とかあるんですね」
「そりゃあ東京にも路地裏ぐらいあるだろ…」
これから起きることをある程度予想できていた天城は投げやりな調子で答えた。
対照的に、自分が何のために呼ばれたのか見当もつかない卯田は、楽しそうにしている。
「ここです」
斉藤は廃れて何も入っていないビルの扉に手をかけた。
「廃ビルの中に入るの……?」
卯田が露骨にいやそうな顔するが、天城は当然と言った風に斉藤の後を追う。
それでも躊躇っている卯田に天城はため息をつきながら言った。
「馨ちゃん。極秘捜査機関だぞ。誰にでも分かるところに拠点があるわけ無いだろ」
「あ………そっか」
納得した様子で、卯田も駆け足で廃ビルの中に入っていった。
廃ビルの中は広い空間となっており、外側とは見違えるくらい整備され、様々なコンピュータ類の機械が置かれていた。
そして部屋の中央には2人の人間がいた。
1人は外人だ。短めの金髪にサングラスをかけ、ガムを噛みながらこちらをじっと見ている。
もう1人は中年男性だ。興味がなさそうに天城たちをチラリと見ると、うつむいてしまった。一見するとやる気のないサラリーマンだが、その服装に問題があった。
なんとその男は囚人服を着ていたのだ。
天城と卯田は一瞬でそのことに気付き、警戒心を強めた。
そしてそんな腹の探りあいにおかまいなしに斉藤が口を開いた。
「さて、これでGUARDIANS全員が揃いました」
その言葉に4人の表情に驚愕の色が現れる。
「4人だと……!?」
囚人服の男性が目をむいた。
「っはははははは!! 斉藤さんよ、何の冗談だそりゃあ!?」
金髪の外人は流暢な日本語で言った。
天城と卯田も唖然としている。
そして斉藤はそんな様子を無視して、一言。
「ようこそGURDIANSへ」