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Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.5 )
日時: 2011/08/21 10:16
名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)

第1章≪結成—GUARDIANS—≫④



「テロを食い止めるって……私達4人だけで!?」

卯田は信じられない、といった表情になっている。

「ええ。現場捜査官3人、アナリスト1人の構成です」

斉藤は当然とでもいわんばかりの態度で答えた。

「マジかよ………笑えねえ」

アレックスも呆れ顔になっている。

「………アナリストと言ったな。そこの金髪小僧がそうか?」

岬は当初の動揺はすでに見られなくなっている。

そしてそれは、天城も同じだった。

天城はデルタフォースのバッジの絵を見た瞬間から「このような」ことが起きることは予測できていた。

「アレックス、お前ハッカーだろ?」

4人の中で一番冷静な天城は、薄ら笑いすら浮かべていた。

「なんだよニヤニヤしやがって………ああ、そうだよ。俺はハッカーだ」

アレックスは両手を広げて投げやりな調子で言った。

「フン。ハッカー上がりのアナリストか………」

岬が堂々と悪態をつく。

「んだよ。そっちは囚人上がりの現場捜査官だろうが」

アレックスも負けじと返し、一気に空気が悪くなる。

「あ……その…ケンカは…」

卯田が何とか止めようとするが、2人に睨まれてすごすごと引き下がった。

「あ……天城さん……」

泣きそうな顔ですがってくる卯田をなだめ、天城は2人に近寄った。

「俺は田舎の駐在上がりの現場捜査官だ」

「は?」

「俺たちがもともと何だったかなんて、どうでもいいだろ。肝心なのは、今日本にはテロの危機が迫っていて、俺たちはそれを食い止めなきゃいけない、ってことじゃないか?」

「………いや、飲み込み早すぎるだろ」

アレックスが冷静に指摘するが、天城は無視して話を続けた。

「それにだ。人を経歴や見た目なんかで判断しちゃいけない。思い込みこそが人の最大の弱点だ。例えば、この馨ちゃん—彼女には特技がある。なんだか分かるか?」

「はぁ? …………お色気攻撃とか?」

「な、何よそれっ!」

卯田が顔を真っ赤にして反論する。

「………違うな。馨ちゃんには色気なんて皆無だ」

「ちょっとお!!」

卯田が天城に殴りかかる。

しかしそれは適当に繰り出したパンチではなく—

「うおあ!?」

正拳だった。

天城は卯田の渾身の正拳を何とか顔の前で止めた。

「なっ………」

アレックスが言葉を失っている。岬も目を見開いていた。

「ね? これが馨ちゃんの特技、格闘技だ。空手、柔道、太極拳、少林寺、テコンドー……有名どころは全部師範レベルなんだぜ?」

「い、いやあ………えへへ」

卯田が腕を突き出したまま、もう片方の手で頭をかいた。

「ま、それを履歴書にうっかり書き忘れて田舎に飛ばされたんだけどな」

「い、いやあ………えへへ」

「……………個性的だな」

岬がボソッとつぶやいた。

「さて、そろそろ作戦の説明に移ってもよろしいでしょうか?」

斉藤がどこからかファイルを4冊持ってきた。

「………!!」

4人の表情が一斉に厳しいものとなる。

「まず最初に。あなたがたの敵を教えましょう」

ファイルの1ページ目です。

我先にとファイルを受け取り、4人は1ページ目を開いた。

そこには、ある人物の名前と顔写真、そして経歴が載っていた。

「この男の名前は、北野義章。そして彼が率いるテロ組織こそ—我々の敵、獅子の牙です」


















「いよいよですね、北野」

「そうだな、ここまでよくついてきてくれたな、吾妻」

「いえ、当然のことです」

2人の男が、東京タワーから、自分達がこれから破壊しようと言う町並みを見つめた。

「俺たちは歴史を変えるんだ、吾妻。この腐りきった国に、正義の鉄槌を下すときが来た」

「………どこまでも、お傍に」

「フッ……頼もしいな、それでこそ獅子の牙一番の戦士だ」

「ありがたきお言葉です」

北野と吾妻は、しばらくの間無言で、東京を見続けた。

そして、北野は決意したように、吾妻を見た。





「同志たちに伝えよ。オペレーション・アカツキを始動すると」