ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.9 )
- 日時: 2011/08/23 20:29
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
- 参照: 今日の一言「ところでシリアス・ダークって何ですか?」
第2章≪始動—スタートアップ—≫②
「いらっしゃい」
天城が店に入るなり、目つきが鋭い男が近寄ってきた。
「何をお探しですか?」
天城はすばやく外から見えない場所を確認した。
「ああ…実は日曜大工を始めようと思って。いいもの紹介してくれます?」
「そうですか、それなら丁度いい商品がありますよ。こちらへ」
天城の狙い通りに男は死角になる場所に移動した。
「へええ……たくさん種類があるんですねー」
「うちは品揃えが自慢ですから。これなんてどうです? 初心者用の日曜大工セットです。お値段も手ごろですし、丁度いいかと思いますよ」
完璧な演技だ。この男の正体を知らないものは例え警察であっても見破れないだろう。
だが、天城は男が着ている作業着の内側にある銃の存在に気付いていた。
(ただのチンピラが銃を携帯しているワケがない。クロだ)
天城の決断は早かった。
「ほうほう………じゃあこれを貰おうかな」
「ありがとうございます。ではあちらでお会計を」
「ああ、その前に……」
「はい?」
「その隠してある銃、どういうことかな?」
「………!?」
男の顔に走った一瞬の動揺を天城は見逃さなかった。
「反応を見る限り、否定する気はないと見ていいのかな?」
男は魔法にかけられたように固まっていたが、やがて小さく笑い出した。
「バカだな……気付かなければ日曜大工できたのになぁ!!」
男は素早い身のこなしで銃を抜き出した。
が、天城は既に男の視界から消えていた。
「…どこだ!?」
「—甘いな」
「!?」
天城は背後から首を絞めにかかった。
「いい動きだけど…銃を抜く時、俺から目そらしただろ」
「ぐっ………」
男は抵抗したが、やがてなす術もなく気を失った。
「さて………親分はどこかな?」
天城が息を整え立ち上がったとき—
カウンターの奥から銃を構えた男が出てきた。
「!!」
天城はとっさに横に飛んだ。1秒もしないうちに銃弾が天城がいた場所を抉る。
商品棚に隠れ、素早くジャケットから銃—デルタフォースで採用されているベレッタM92を抜き出した。
間断なく銃声が聞えてくる。天城は敵が複数いることを確信した。
(俺を倒そうって撃ち方じゃないな。牽制してる……時間稼ぎか)
単純な作戦だったが、それだけに崩すのは容易に出来そうになかった。
(まずいな………)
と、その時。天城の目に男たちの近くにある消火器が映った。
(これだ……!!)
天城は狙いを定め、引き金を引いた。
銃弾は消火器に命中し、爆発した。
「ぐわあっ!!」
近くにいた男たちは全員爆発に巻き込まれた。
天城はすぐさまカウンターの奥に走った。
奥は階段となっており、下に続いていた。
「急がないと…!」
天城は階段をすべるように駆け下り、その先にある部屋に突っ込んだ。
だが—
「遅かったか……」
部屋は既にもぬけの殻で、ターゲットの木島はもちろん、他の仲間も消えていた。
隠し扉と思われるものが開け放たれている様子から見ると、既に木島たちは脱出してしまっているようだった。
それでも、何台かのノートパソコンが残っていた。
「とりあえず……こいつを持ち帰るしかないか」
天城は床に放ってあったバッグを取ると、残っていたノートパソコンを入れた。
「よし」
天城がバッグのチャックを閉めると、アレックスから連絡が来た。
「もしもし?」
『倫太郎! すぐにそこから離れろ!!』
アレックスは切迫した声で言ってきた。
「どうした、アレックス?」
『警察がすぐそこまで来てる!! いいから逃げるんだ!』
天城も表情が苦いものとなった。
「くそ……やっぱあんだけ派手にやりゃ来るか……!!」
すでに天城の耳にはパトカーのサイレン音がかすかに聞えてきている。
「分かった脱出する!」
『車では移動するな。検問所があるぞ!』
「了解!!」
天城は隠し扉に向かって走り出した。