ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ──†闇色のPessimism†── ( No.5 )
- 日時: 2011/08/16 16:45
- 名前: いちご牛乳。 ◆2TKxyO84Mk (ID: evp0hpRa)
第一章
1話 目覚め
「………んぁ?……ここは…。」
俺は目を覚ます。
意識ははっきりしていた。
俺はどうやら、地面に寝そべっていたらしい…。
あれ?
でも俺、さっきまでスポーツ用品店に行こうとしてたような…。
店に入った途端に、ハンカチのようなもので口を押さえられ、気が付いたらここに居た。
少し歩いてみよう…。
俺は立ち上がり、辺りを見渡す。
そこは怪しげな森林地帯であった。空は灰色で、カラスが鳴いている。
そして、木々の間から見える大きな噴水…そして、その噴水の向こう側には大きな、西洋風の屋敷が静かに建っていた。
「すっげぇな……こんな、森林地帯にお屋敷があるとか、不気味すぎるだろう…。」
いや、オカルト研究部の俺が何言ってるんだと自分で自分を突っ込む。
「あら、煉斗じゃないの」
不意に後ろから声がして、振り替えると、見覚えのある顔が4つもあった。
「み、みんな……っ…!」
みんなとは、もちろんオカルト研究部のことだ。
なぜ、ここに居るのだろうか…。
「何してるのかしら、煉斗。この部長である私を差し置いて…」
この人は、我がオカルト研究部の部長、朝霧神楽さんだ。
一応、先輩なのだが、本人は先輩と言われるのが苦手らしく、さん付けで呼んでいる。
「いや、な…なんていうか…俺も気付いたらここに居て…。」
「フフッ、実は明日くるこの黒魔女の館に先に来て、みんなを脅かそうとしてたのかい…?」
そう言って俺の言葉を遮ったのは、伊集院清司でオカルト研究部の副部長だ。
家はお金持ちで、ファミレスに行ったことがないらしい。
「ち、ちげえよ。まったく、神楽さんと清司は……」
俺は呆れた口調で溜息をつく。
「じゃあ、誰なわけ?この私の背後から、ハンカチを口にあててきた輩は。」
今喋ったのは、鉤宮花だ。
俺のクラスの委員長で、学年ではデレないツンデレとして通っている。
「…花、お前もかよ。ははっ、みんなドジったなあ、背後からハンカチを口にあてられ気絶だなんてよ。」
そう言ったのは、俺の悪友である藤木恭介。
大のフェミニストで、通称、ギャルゲハンターだ。
「待て恭介。今、ハンカチで口を押さえられたって……」
俺は恭介に聞き返した。
さっきまで俺をからかっていた、神楽さんと清司も、
真面目な顔になっていた。
「ねえ、煉斗。あんたが、気絶したのって何時くらい?」
神楽さんが、真顔で質問してきた。
えーと…午前中で終わってからだから……大体、14時というところだ。
「14時くらいだったはずですけど……」
俺が答えると、
俺以外の4人は息を飲んでいた。
「……僕らも、14時くらいに気絶してるんだ。」
清司の言葉に俺の顔面は驚きを隠せなかった。
「ま、まさか……そんなわけないだろう…。」
俺が呟くと、
花はこう続けた。
「しかも、みんな一緒には居なかったわ。つまり……」
「同時刻に別な場所で、みんな気絶したってことなのか…?」
俺の答えに、
みんなは真面目な顔を俺に向けて、静かに頷いた。
「まあ、とりあえず…さ。あそこに見える屋敷に行って見ようぜ?誰かいるかもしれないしな」
恭介は、西洋風の屋敷を指差しながら言った。
確かに、見た感じ新しい屋敷だ。そこの屋敷に誰か住んでいたら、助けを求められるかもしれない。
「じゃあ、行ってみるか!」
俺たちは、
屋敷の入り口立ち、ドアをゆっくり開いた───。