ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 【ヘル・エッジ】 ( No.1 )
- 日時: 2011/08/25 20:14
- 名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)
▼Chapter1〝ファンタジア〟
(一)
ここは砂漠の町・バロック。
数百人ぐらいの人が暮らす町だ。のんびりと人々が暮らしている。
周囲には数えれるほどのテントがいくつか。此処に住んでいる人はテントで暮らす。
バロックにあるのは、わずかなオアシスと食料だけ———。
足りない分は隣町・サリファで補っている。
今日も、そのためにサリファに向かう青年と少女がいた。
青年は二十前後。黒のTシャツと膝が隠れるぐらいのカーゴパンツを身にまとっている。この服はサリファで買ったものだ。整った顔立ちをして、切れ長の目をしている。もう片方——少女は十代前半。マキシワンピースを見にまとっている。同じくサリファで購入。大人っッぽい顔立ちをしていて、かなりの美人だ。胸まである長い髪は、束ねてポ二ーテールにしている。よく見てみると顔が似ていた。——兄妹だ。
青年と少女は茶色の大きい紙と多少のお金を持ってバロックを出た。
サリファまでは片道三十分。サリファは、バロックよりも都会で、さまざまな品物が売られている。物価は高いが、食べないよりはまだマシだ。
「今日はどのくらい値切ってもらえるのかしら」
少女はふふ、と笑みをこぼす。
それを聞いた青年は呆れた様子だった。
「さぁね。店の人の気分次第だろうし……でも、店の人を泣かせるよう
なまねは頼むから二度としないでくれ」
「失礼ね。あれでも十分遠慮してたのよ!?」
少女はムッとして青年を睨む。青年は無視して速足で少女よりも前に出た。「……店の人に同情するよ」と言い残して。少女の耳にその声は届いて、少女の頭に血が上った。
「そんなこと言ったら同情するなら金をくれ、って店の人に言われそう
ね。兄さんだって、女の人に油売ってるじゃない!同じようなことよ」
少女は青年の後を追った。
「全然違うよ。それに俺がどこで油を売っているって?かってに寄って
来るだけだ。鳥肌が立って仕方がない」
どうやらこの青年、過去に女性にトラウマがあるらしい。
「あぁ、そうだったわね。兄さん、女嫌いだから」
少女がしてやったり、という顔をする。
「分かってたら言うな」
「今、思い出したのよ」
少女は舌をべぇ〜と出して青年を挑発した。