ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 非行少年隊COLORS ( No.14 )
- 日時: 2011/08/31 13:52
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: Ui5uT1fk)
[1]
この世は、シャープペンの芯の箱に似ている。
箱は、この世界。芯は、人間。人間が増えれば増えるほど白かった箱はどんどんどす黒い色が付いていって、箱が空く訳でもないって分かってるのに暴れるから折れて死ぬけど、二つに分かれてまた新しい人生が始まる。それを繰り返していくうちに芯は増える。
私は、消しゴムになった。
消しゴムになって箱の内側を消していくけど、全然ダメで、またすぐに黒くなってしまう。もう、面倒臭い。だから、芯を折る。折って折って折って、いつの日か人間を絶滅させる。
いくらいい事をしたって、無意味なんだ。根から消さなければまた、カビのように生えてくる。
で。
「はい、現実逃避タイムしゅーりょー! んじゃ、人体改造はじめまーす」
今置かれている状況がまだ理解出来ないわけで。目が覚めたら中学生の部屋みたいな汚い部屋にいるわけで。このクソ硬いベッドみたいな物にかなり本格的な拘束具で固定されているわけで。上からは手術の時みたいな眩しいったらありゃしないような白い光で照らされているわけで。
今から人体改造。
ははははは。
「現実逃避タイムは終了って言ったでしょ? 折角時間あげたんだからさ、タイムオーバーは無しだよ。 あんまり現実から目を離すとブッ刺しますよー」
笑うしかない。
固定された私を見下ろしながら、にっこにっこと笑っているマスクも手術着も着ていない、ただナイフを持っただけの男の子が両手に持ったナイフをカチャカチャと鳴らしている。笑っているのに、「これから食事なんです!」というライオンのようなオーラが出ていた。
何だ、私は食われるのか? 改造されんのか? 殺されんのか?
「心配しなくて大丈夫だよ、ただちょっとだけ脳みその中身を入れ替えるだけだからねー」
どうやら殺されて食われるらしい。ヤンデレショタなんてジャンルは聞いたことが無いぞ。「貴女を食べれば一体化しますよ!」ってやつか?
私はこんなやつに好意を持たれるような行動はしていないし、そもそも何故此処にいるのかが分からない。
「それじゃ、始めまーす。ちょっと寝ててね」
男の子はそう言うと、大きなコンクリートの塊を持ち上げた。
とりあえず、死ぬ前に言っておきたい台詞でも言っておこうか。
「此処は俺に任せて先にい……ゴブッ!」
視界がかすみ、暗くなり、切れないようにピンと張った意識の糸が鋏で切られた。天国のおかあさん、ゴメンナサイ。
この世は、シャープペンの箱に似ている。
私は、紙の箱を破った。破って、その外に出た。
————今、私が見る世界は、