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Re: 【参照100突破】 非行少年隊COLORS ( No.19 )
日時: 2011/09/23 17:02
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: AidydSdZ)
参照: うっひょwwww (テンションが高い玖龍です)

《1》


 「人間は物じゃない」って誰かが言っていたけど、人間を「動物」つまり「動く物」とか、「生物」つまり生きる物とか言っちゃってる時点で物扱いだと、アタシは思う。
 アタシは「人が物」ってことに反感がある訳じゃなくて、寧ろそっちのほうが嬉しい。だって、扱い方さえ学べば全部自分の物に出来るじゃない?
 アタシの手の中に今、全人類が居る。人間なんてちょっと修正して上げればあっという間に石で出来た駒になる。
 そう、優秀な、ね。

 戦争でも、始めてみましょうか。






「きっとね」

 彼女が呟いた短い言葉は、点滅し始めた青信号を渡ろうとする人の群れに囲まれ行き場を無くして誰に聞き取られることも無く、消えた。
 ビルの間に沈む夕日が彼女を背中から照らしている。逆光で、その表情は少しも読み取れない。
 横断歩道を渡りきった彼女の友人が、彼女の名前を叫び、手を招いた。彼女は横断歩道の片側に、魂が抜けたようにつったって居る。
 信号が、赤に変わった。バイクが動き出そうと、エンジン音を轟かせた。車が道路を行き交いビュン、と、音を立てた。
 彼女が、足を一歩前に出した。一歩、また一歩と、彼女は早足に横断歩道を渡り始める。動き出した車が彼女に驚き、クラクションを鳴らしたり、急ブレーキをかけたりした。
 彼女はお構いなしに横断歩道の真ん中まで歩き、ぴたりと止まった。彼女の後ろを、前を、車の大群が通る。彼女を待つ友人が、必死に彼女の名前を呼んだ。
 彼女の横から、彼女の姿を確認できなかった白い乗用車がブレーキをかけずに突っ走ってくる。彼女は目玉を右に寄せて、目のふちで車の存在を確認した。彼女の友人が息を飲む。
 鈍い音がして、彼女の足が折れた。そのまま体が乗用車の上に跳ね上がり、道路の上に落ちた。



 悲鳴。



「儚い物なんだよ」

 彼女は小さく、笑った。
 きっとね、儚い物なんだよ。散ればおしまい。だけど知らないうちに自分で種を落としてる。此処で私が死んだのも運命、神様が決めたことなんだから。だから心配しなくていいんだよ。また、生きなきゃいけないから。生き返ったらきっと、あなたに会いに行くね。
 そして、殺してあげる。




何か短いなぁ。あとで色々修正加えるので保留。