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3話『発羅 甘菜』
・秋池 持久視点



「あっ、甘菜」


夏が声の主の名前を呼んだ。


甘菜?ってまさか。


___声の主は、予想外の人物だった。

発羅 甘菜(Hatura Kanna)。


先輩であり、

俺の、

俺の、初恋の人。


そんな人が、こっちに歩いてくる。
いつも通りのショートヘア。


実は、俺はまだこの人のことが好きだ。



天にも昇る気持ちだった。


が。


自分の情けない格好を思い出した。

もうこの場から逃げ出したいです。


格好だけでなく、

この場から逃げようと体の方向を変えている自分も…


思い切り情けない。


「ん?あれ?持久?」


その声の主は勿論、甘菜先輩だ。


先輩が俺が居ることに気付いたのだ。



うん。逃げよう。



逃げよう！