ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神的少女は殺戮がお好き【オリキャラ募集中!】 ( No.101 )
日時: 2011/10/27 16:38
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

二階の自室で、話をしていた。

「お姉さま。何故過去から連れてくる必要があったの?」

渚は不思議そうに尋ねた。見分けのつかないほどそっくりな双子の姉、梓は淡々と答えた。

「あの子のためになるからよ。連れてきた田中君は、死神少年だったの。私の望む——違うわね、平和な未来にするには、連れてくる他なかったのよ。」
「田中君はその平和な未来にするための“鍵”ってこと?」
「そういうこと。私は未来を平和にしなければいけないの。そのためにも、田中君は必要な人材だったのよ。私は殺戮を阻止しなければならない。」
「殺戮……っ。ということは、朱里ちゃんはその危険があるということなのね?」
「そういうことなの。その気を調べるには記憶少女の力を借りるほかないのだけれど、でも奥山さんはやめた方がいいわ。」
「どうして?」
「あの子は闇の秘密結社に育てられた子よ? 頼んだところで、いつ裏切られるか分かったものじゃない。それに、先輩だし。」
「でも私たちには、過去と未来があるわ。」
「それだけが武器ね。」

梓は微笑んだ。その微笑みに隠された言葉を、微かに感じ取った。渚はヴィクトリアを抱きあげ、目を閉じた。望みの過去はすぐそこに——

Re: 神的少女は殺戮がお好き【オリキャラ募集中!】 ( No.102 )
日時: 2011/10/27 17:34
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

「こんな馬鹿な人間は殺してしまえっ! この世界に神として君臨するのは僕らだ! 誰も僕らには逆らえないんだ!」

僕ら——神的少年たちは、世界の破滅の一歩を踏み出していた。それぞれ凶器を持った彼らは、人間を殺しつくしていた。その瞳の色は、まるであやつられているかのように生気を失っている。

「人間を殺しつくせ! 新しい世界を我が元に! こんな人間たちは僕らに殺されるべきだ!」

ある少女たちは身を寄せ合って目を閉じ、ある少年は銃を乱射していた。死骸は徐々に増えて行き、行き場をなくしていった。
だいたい殺しつくし、伝説通りに彼らは死骸で島をつくった。誰にも見つからない、動く島。そのとき、たくさんの人間たちと何の取り柄もなさそうな弱々しい少年たちが現れた。彼らは島から飛び降り、少年たちを殺そうと襲いかかってきた。その前に襲いかかってきた彼らを弱々しい少年たちは瞬く間に殺しつくした。

(二つの伝説がつながってる! 伝説は別々の話だったはずなのに……いつどこで二つに割れたのかしら。)

一人の老人が、殺戮をしていた少年らを殺してくれた弱々しい少年たちの前に進み出た。

「ああ神よ、我らを救ってくださった聖なる神よ。我々人間は恩に尽くす限りにございます。どうかこの世に身をおとどめくださりませ。」
「我らはいかなくてはならない。恩など必要ない。我らはこの世に身をとどめることなど出来ぬ。」

生き残った人間たちの間で、ざわめきが起こった。きっと彼らはこの世に身をとどめていてくれる、そう思っていたからだろう。

「どうしてもいってしまわれるのですか? またこのようなことがあったら、あなた方は助けてくださいますか?」
「我らの使命は人類を見守ること。殺戮を阻止することではない。またこのようなことを起こしたくなくば、死神を集めない事だ。死神を集めれば、やがて殺戮の力を持つこととなろう。その殺戮の力を持たせたくなくば、死神の殺戮の気を収める死神をそばにいさせる事だ。それでこの世界の平安は続くだろう。我らの使命は人類を見守ること。殺戮を阻止することではない。これだけは覚えている事だ。」

少年たちの話は終わり、瞬間移動でもしたように消えた。生き残った人間たちのざわめきは、もっと激しくなった。少年たちの話を聞いていて、渚は何かに気づいたようだ。

(お姉さまが田中君を過去から連れ出してきたのは、こういうことだったのね。死神が死神少年または死神少女だとすれば、死神の気を収める死神=田中君。じゃあ朱里ちゃんは? 死んでしまった優美ちゃんは?)

謎が解けるとともに、また謎が増える。一向に消える気配のない謎は、いつ解けるのだろうか。渚は過去から目覚めた。

第七章 結