ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【オリキャラ募集中!】 ( No.103 )
- 日時: 2011/10/28 20:01
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
第八章 心読み少女と謎の爆発
「隣の市から引っ越してきました、田中奏です。前の学校ではバスケ部でした。よろしくおねがいします。」
別に転校してきたわけでもないのに自己紹介をするなんて変だ。でも、みんな忘れているのだからしょうがない。
(みんな忘れてるんだ、しょうがないよな……? 俺は殺されたわけじゃないのに、なんでみんな俺のこと忘れてるんだ?)
『それはあなたが過去から連れ出されたからよ。一時的にあなたは世界からいなくなった。』
(は? 誰だよ。誰もしゃべってる感じしないぞ?)
『あなたって馬鹿? 私は神的能力を使ってあなたにしゃべりかけてるの。もちろん、花園さんにもね。』
(……山本さん?)
『分かる? 花園さん。』
(まあ一応。奏は知らないよね、今年の夏に転校してきた、山本絵里佳さん。山本さんも神的少女なのね?)
『そうよ。心読み能力とテレパシー能力。』
(二つも持ってんのかよ。すげぇな。)
(じゃあ、心を読んでテレパシーをおくっているの?)
『そういうことかしら。お互い相性が合えば心を読まなくてもテレパシーで話せるわ。あと、テレパシー能力を持った人ともね。』
(すごい! 山本さんって見かけによらないね!)
『あなただって見かけによらないわ。あの残酷な死——』
(うぎゃぎゃぎゃぎゃ〜! 駄目! それ以上言ったら駄目!)
朱里は心の中で叫んだ——はずだった。自分が注目されているのに気づいて、苦笑した。それにまぎれて、奏は朱里に笑顔を向けた。
『またあとで話しましょう。』
(テストの時とかカンニング出来るな!)
(何考えてるのっ! 不正行為はいけません。)
(ちぇっ、いい案だと思ったによ……)
ドッカーン!
とても大きな音が轟いた。それは鼓膜を破るような大きさで、教室の窓ガラスを割るような爆風を出した。どうやら校庭で何かが爆発したらしい。みんな窓に寄り、外を見ようとしている。上履きをはいているので、破片は足にはささらなかった。朱里は皆の視線から解放されて一息ついた後、窓へ駆け寄った。校庭には運よく誰もいなかったようだ。煙が徐々に勢いを弱めていき、校庭の真ん中には黒く焦げた跡があった。
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【オリキャラ募集中!】 ( No.104 )
- 日時: 2011/10/29 16:55
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
『あれは何?』
(なんだろうね。奏〜?)
(何ぃ〜? てか俺の席どこだよ。のび太俺の席教えろよ〜)
(あっそうか、一度いなくなったから席ないんだっけ。)
『あなたの席は窓際の高橋さんのお隣よ。』
(のび太の心読んだ?)
『読んじゃっただけよ。』
(のび太ってどんなこと考えてるの?)
『どうしよう、どうしよう、どうやって静めよう。って考えてる。』
(あはははっ、のび太らしいね。)
(このままほっとくの? そしたら俺どうなんの?)
『確実にみんなにいじられるわね。』
(同感。)
(どうなるんだぁぁぁぁぁぁぁ! 俺ぇぇぇぇぇぇぇぇ!)
「野原先生、ちょっと……」
「あっはい。それじゃあみんな、静かにしているように! あ……田中君はあの窓際の席に。高橋さん、教えてあげて。」
こくん、と優奈はうなずいた。通称のび太は呼ばれて教室から出て行き、間もなく階段を降りるような音が聞こえた。教室はざわめきでいっぱいになり、優奈はそのざわめきから逃れて奏に席を教えなくてはならなくなった。優奈は少し黒ずみのある机を指差し、あわてて傍を離れて行った。優奈が傍を離れたかと思うと、今度はクラスメート達が奏に押し掛けてきた。予想通り、散々いじられた。
奏は気付かなかったのだが、優奈が離れて奏を見つめていた。引っ込み思案で虐められている子をつい庇ってしまう性格のためか、周りにあまり友達がいなかった。いたとしても、今は最も中のいいグループへ行っているに違いない。優奈はさびしそうな目を奏に向けていた。
第八章 結