ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神的少女は殺戮がお好き【オリキャラ募集中!】 ( No.105 )
日時: 2011/11/03 13:21
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

第九章 爆発の原因

「いったぁ〜。また失敗しちゃったかな〜? あたしってドジばっか踏むんだよな〜」

古風なマントを羽織った少女が、頭をさすってあたりを見回している。どうやらここは校庭らしい。地面が乾いた土で出来ていて、石や白い粉が混ざり、ざらざらしていた。煙が少女のいるあたりからひいてきて、隣にもう一人少女がいることが分かった。

「あれぇ〜ここはどこなんでしょう〜。さっきまで教室にいたはずなのにぃ〜……千秋さん〜!?」
「ありゃま、流星を道連れにしちゃったか……」
「確かぁ〜爆発を見てぇ〜……ここはもしや校庭ぃ〜! それなら早く隠れなきゃぁ〜」

流星は千秋と呼ばれた少女の手を引いて、煙の中を進んだ。千秋のすぐ後ろはもう煙が消え、ギリギリ姿が見えないくらいだ。進んだ先には体育館があり中には人がいたが、煙に隠れて裏にいくことが出来た。

「今度はどこに行って来たんですかぁ〜」
「えっとね、過去。神殺カミサツ伝説の時だよ。いやぁ〜殺されなくてよかった」

神殺伝説とは、神的少年・少女殺戮伝説のことだ。長いので、大体の神的能力者はそう呼んでいる。

「神殺伝説の時ですかぁ〜過去飛来能力があるといいですねぇ〜」
「いいってものじゃないよ。そういえば、別の過去飛来能力者もいたよ。その人の所いこうとしたら、ここに来ちゃったの。」
「もしかしてぇ〜御園渚さんかもしれません〜。あの子は御園梓さんの双子の妹でしてぇ〜梓さんは未来予知能力を持ってるんですぅ〜。千秋さんはぁ〜一人で過去飛来と未来予知を持つぅ〜時間少女でしたねぇ〜」
「うん、そうよ。そのおかげでここまで来れたけど……あたしってドジっ子だから、もう上はいけないかもな。あっ! 神殺っていうとさ、神を殺しちゃったみたいな感じにならない? そうだよ神を…ぎゃうッ」
「だめですよぉ〜それ以上言っちゃぁ〜」

Re: 神的少女は殺戮がお好き【オリキャラ募集中!】 ( No.106 )
日時: 2011/11/05 13:05
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

千秋は口をふさがれて、子供のようにじたばたした。流星はそれを必死に抑える。千秋のさらさらとした髪は風に吹かれるように宙に舞った。

「ああそういえばぁ〜樹奈さんが私を探しに来るかもしれないのでぇ〜ここらへんでお別れですぅ〜」

千秋の口を押さえながら言った。そしてパッと手を放し、立ち上がった。千秋は呆然と流星が言ったことを繰り返した。

「“樹奈さんが私を探しに来るかもしれない”……? 樹奈って、奥山樹奈?」
「そうですけどぉ〜?」
「そいつは闇の秘密結社——“dark company”(ダークカンパニー)に育てられた、闇の手先。あなたはいいように使われているだけよ。」

信じられないというような素振りを見せ、手を広げた。流星も信じられないというような顔をする。

「そんなことないですぅ〜協力的でしたしぃ〜優しいですしぃ〜ああ見えて結構いい子なんですよぉ〜闇の手先だとしても、決して私たちは裏切らないですぅ〜」
「ねえ、分かっているの? かつて私たちの一族を滅ぼした“dark company”よ。裏切らないはずないわ。またきっと、私たちを滅ぼしに来たのよ。確かに優しくて協力的かもしれない。でもね、裏があるはずよ。私たちは神から、もう一度使命をもらった、命をもらった。私はあなたのために言ってるの。また命をもらうことなんかできないのよ——。でも、もし流星がその闇の手先を信じるというのなら、私は止めない——」

そこまで言い終えると、千秋は嗚咽を漏らし始めた。流星は困惑して、あたりをおろおろと動きまわった。

「はい、しっかり納めさせていただきましたよ。」

どこからか、声が響いてきた。その声の正体を知ろうと、二人はあたりを見回した。と、小学校と中学校をへだてるフェンスから闇が降りてきた。レコーダーを振りかざし、二人に近づいた。

「これ、あなたたちが話してたことが録音してあるの。これを奥山さんに渡したらどうなると思う? “dark company”にすぐ報告しにいくでしょうね。それは防ぎたいでしょう、また滅ぼされるなんてゴメンよね。」
「ゴメンよ。……それで?」
「なら、私たちに協力出来る——よね?」
「もちろんですぅ〜! 協力する代わりにぃ〜それを今すぐ破棄してください〜」
「駄目よ。弱みを握っていなければ、あなたたちは協力してくれないかも知れないじゃない。」
「じゃあ……仕方ないね。」

とレコーダーを見やり、闇は首をかしげ、何か変なものでもついているのかとレコーダーをチラリと見た。千秋が何かを呟くと、また爆音が響いた。それとほぼ同時に、呪文のようなものを叫んだ。

Re: 神的少女は殺戮がお好き【オリキャラ募集中!】 ( No.107 )
日時: 2011/11/05 17:39
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

「汝、我の言葉を聞き入れよ! 我、神から預かりし命を持つもの! 汝、そこに跪け!」

すると闇の瞳が生をなくしたように虚ろになり、地面に跪いた。千秋は次の言葉を口にする。淡々としたその口調は、どこか優しく感じられた。

「汝、我を汚す者か?」
「汚すつもりはない。」
「汝、神なる能力を持つ者か?」
「神なる能力を持つ者なり。」
「汝、我を裏切らぬか。」
「裏切らぬ。」
「汝、神に誓い、ここにその意思を表せ。」

闇は手に持っていたレコーダーを踏みつぶした。流星はそれを呆気にとられて見ていたが、耐えられなくなってきたよ
うだ。走ってその場を逃げ出してしまった。だが、誰もそれを止めようとはしなかった。

「よかろう。我、汝を許そう。」

その言葉が解除キーだったのか、闇はハッと我に返った。

「私は何を……? キャァァァァァァ!!」

そう叫んだのとほぼ同時に、また校庭で爆発が起きた。闇の悲鳴は、爆音に消された。

「……コホン、レコーダーが壊れちゃったなら仕方ないわ。協力はしてくれるわよね、録音した内容は消えたわ。」
「もちろん。喜んで協力させてもらう。」

千秋がニッコリと笑うと、闇はフェンスを易々と乗り越え、小学校へ消えて行った。レコーダーはちゃんと持っていいたらしい。残された千秋は、煙の中へ消えて行った——

第九章 結