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Re: 神的少女は殺戮がお好き【やっと更新!!】 ( No.158 )
日時: 2011/12/18 15:40
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: m3TMUfpp)

「別々の時間にいるからよ。まあ例えば、一月一日には生きていたAさんが、一月二日に死にました。それを悲しんだBさんは、過去に戻ってAさんを連れてきました。とすると、Aさんは一月一日にはいなかったことになるの。この世界にね。しかもBさんが連れてきたのは一月一日のAさんだから、一月二日にいるAさんは一月一日のAさんなのよ」
「ちょっと良く分かんない。そのどこが時空を歪めてるの?」
「今の話だと、ある特定の時間に、ある特定の時間の人間ではない時間の人がいるの。そこに問題があるのよ」
 朱里の顔はパッと華やぎ、開いた左手の上に握った右手を跳ねらせる。
「ああ、それが時空の歪みの原因?」
「まあそんな感じね。そこに、時空の歪みが出来るの」
「どんなふうに?」
 大きなため息が、五人の中に広がった。
「……そうねぇ、歪みは目に見えるものではないの。感じるのよ。私は未来予知があるから感じやすいけど、そうでない人は感じにくいわね。神的能力者なら少しは分かると思うわ。こう、ふわっとして、なんか気持ち悪くなる感じ。といっても、体の中がそうなる訳じゃなくて、体の周りに何かがまとわりついている感じに似ているわね」
「ええッ! 怖ッ!」
「私はそんなの感じたことないよ? 過去飛来があるけど」
「単に鈍感だからだと思うわ。昔からそうだったものね」
「えっ、ひどっ」
 盛大な笑いが五人を包む。学校が枯葉の合間にうっすらと見えていた。梓が何か思い出したように左を向いた。
「そういえば、闇。何か収穫は?」
「流星と千秋とかいう人が協力してくれるって。でもレコーダーが…壊されて…なんてひどい……」
 闇は何やらブツブツとつぶやき始めた。梓は視線を目の前に移しながら首を振る。