ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【第十三章更新!!】 ( No.167 )
- 日時: 2012/01/05 17:22
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: m3TMUfpp)
第十四章 全てを話して
華香を始め、朱里、美百合、奏、梓、渚、優奈、闇、絵里佳、そして樹奈と流星、千秋が、学校裏の桜の木——今はもう葉一つ付いていなくて、寂しそうに揺れていた——の下に集まった。朱里と奏は、懐かしそうにその木を見上げている。
「みんなゴメンね、いろいろ用事があったのに。今日きてもらったのにはね、話があるからよ……」
美百合は樹奈に視線を移して、
「この人は、記憶を司りし女神。人間名が柊木華香。そして——」
口をいったん閉じ、華香を見た。華香は、切られた言葉を継ぐように言った。
「樹奈の母親よ」
沈黙のざわめきがあった。それを、なんとなく感じられる。樹奈の一瞬輝いた顔には、うっすらと涙が見え隠れしていた。樹奈の母親——華香は、話し始める。
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【第十四章更新!!】 ( No.168 )
- 日時: 2012/01/16 19:50
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: m3TMUfpp)
「あなたたち神的能力者には、ある使命があるの。一つは、この世界を守るため。もう一つは、神たちの私利私欲のため。元々、神には表面の能力と、隠れた裏の能力があった。でもそれを十分活用できるのは、ある優秀な一部だけ。そこで作られたのが神的能力者。人間界からよさそうな人間を選び、神が自分で開花出来なかった裏の能力を分け与えて作ったものよ。一番やりやすかったのが子どもだったわ。これなら、十中八九能力を開花できる。そして色々な能力が作られて行った。存在抹消能力、過去飛来・未来予知能力、情報収集能力など、その数は増えていくばかり。その中で、存在抹消能力を持った能力者たちが人間界へ人知れず帰っていったわ。そして“神的少年・少女殺戮伝説”が出来たの」
「それを止めたのは——神に作られた人造人間だったわよね? 見たわよね、渚」
梓が口をはさむ。華香は、正直言っていい顔はしていなかった。姉の言葉に、うなずく。
「そうよ、神に作られた“モノ”たちよ。その“モノ”たちは、人間界に存在する神的能力者を全員殺してしまったらしいわ。存在抹消能力に留まらずにね。それに、能力を持った人間も殺された。人間も、人間離れした能力を誰もが持っている。それを人知れず開花させ、表面に能力が浮き出たのね。私はその時生まれていなかったから、よくわからないの。それに、元人間だから」
「ええぇ!! 女神さま、元人間だったのぉ〜。千秋、聞いたぁ〜? 元人間だって、聞いたぁ〜?」
「聞いた聞いた」
今度は、千秋が嫌な顔をした。腕をつかまれて、体が揺らめいている。
「ええそうよ。元人間。私は、神の子との間に、子——樹奈を作ってしまったの」
「そんな話より、もっと言うべきことがあるんじゃないんですか?」
控え目で落ち着いた、澄んだ声が聞こえる。それは小さく、ここ最近、声を出していないようだった。声のした方を向くと、それは絵里佳だった。華香の心でも読んだのだろうか、華香は顔をしかめた。
「——まだ言ってなかったわね、そういえば。なぜ私があなたたちにこんな話をしに来たのかというと、あることを依頼するためよ。死神を殺してほしいの。そうしたら、平穏な暮らしが出来るようになるわ。もちろん、出来ることなら望みをかなえてあげられる。優美っていう死神少女を生き返らせることだって」
「ッ優美をっ!! 優美!! ぜひともお引き受けいたしますっ!! だから優美……ぐぇぇ」
「静かにしろよ、聞こえねぇだろ!」
「そんなに騒がないで、話を続けるわよ。もしあなたたちが引き受けてくれたら、全面協力するわ。先に願いを叶えてあげてもいい。
「でも、もしあの天才的でグロ的な優美が生き返ったら、殺戮が開始されるんじゃないかしら? 今度は“モノ”たちは助けには来ないんじゃなくて?」