ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神的少女は殺戮がお好き【あらすじ更新】 ( No.179 )
日時: 2012/02/19 11:09
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: 4pBYKdI8)

だが横にそれる道はなく、後戻りすれば遠回りになるだろう。バス停はあるがすぐに来る気配もなく、目的地の近くにはバス停も無いので、 乗っても無駄。それに、お金を持っていない。少女は意を決して、前へ足を踏み出した。長い黒髪が左右に揺れる。警察官は——気付いていないようだ。
 少女は安堵し、止まりかけた足を速めた。
 また車が飛び交う道路からはずれ、住宅地に入っていった。懐かしい町並みが少女を襲う。と、ランドセルを背負った小学生が脇を走りぬける。もう小学生は帰る時間らしい。だとすると——
 少女は桜並木のあった道へ出た。少しではあるが、ちらほらとグリーンの制服を着た生徒が見える。少女は両方とも2.0の目を凝らし、遠くを見つめる。二人の男女がこちらへ向かってくる。少女は口を「あ」の形に開けた。声は出なかった。だんだんその人影が近づいてくる。少女は確信した。あれが——と、少女は雪の中に倒れた。長い黒髪が宙を舞い、二人の男女の目に留まる。その女の方が駆けてきた。誰かの名前を呼ぶ。少女の意識は完全に途切れようとしていた。

「——優……美!」

 プツン

 そう音を立てて、少女の意識は崩れていった。

第一章 結