ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【優美の記憶が……】 ( No.183 )
- 日時: 2012/03/22 11:47
- 名前: 奈美 ◆oQwO6pOV0U (ID: 4pBYKdI8)
「で、千秋、流星。なんで窓を突き破って入ってきたの? 普通の人が見たらどうするの!」
「え? そんなこと言われてもぉー、困るぅー」
「いやっ! あのですね、これは全て千秋がやったことでして。私は後を追いかけてきただけなんですぅっ!」
「あれ、先輩語尾の伸び癖治ってる!」
「そうなんですよ、直したんです」
「先輩らしくないよな」
「その話は置いておいて、天才的な神的少女の優美ぃ——!! 記憶が無いんだって——ぎょむっ!」
私の方へ近づこうとした千秋は、落ちていたコンビニのビニール袋で滑って転んで顔を床にぶつけた。珍しく幸運なことに、クッションが顔の所にあり、顔面強打は免れた。その衝撃で千秋のポケットから落ちた黄色の携帯電話をみて、流星が樹奈の方に向き直る。
「そういえば、千秋が他の神的少女を呼び出してましたよぉ。あと、淳君も」
「な、ななな何してるのよ千秋! 今は優美がいることを知られない方が——」
「大丈夫だって。もしかしたら、記憶がよみがえるかも知れないでしょ? ほら来た来たっ」
その部屋にいた全員が窓の外を見る。そこには、はしゃぐ茶髪の少女と、顔のそっくりなあきれて首を振る黒髪の少女や、猛ダッシュでこちらに向かってくる制服姿の少年が見えた。男子ってことは、奏の友達ね。神的少年かしら?
「ううん、淳太は神的少年じゃないぜ」
「! 話したの!? 普通の人間に!」
「そんな怒るなって。落ち着け」
「落ち着いてなんかいられないわ! 大体、そいつが信用できるかなんてわからないでしょう!?」
「優美、大丈夫なの、淳君は大丈夫よ。なんかよくわからないけど、私たちが把握している神的能力者は、男子が奏しかいないの。だから、男手は必要で……」
「なら探せばいいじゃない。女子がこうもたくさん集まったんだから、男子だって容易い……」
「そんなに簡単に言わないでよ!!」
突然、朱里が叫んだ。その甲高く怒りのこもった声は、どうやら外まで響いてしまったらしい。双子と少年が、顔を見合わせている。