ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神的少女は殺戮がお好き【二章完結!】 ( No.22 )
日時: 2011/10/10 17:59
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

第三章 真夜中に消える少女

夜20時———リビングの明かりが、廊下まで漏れだす。ダイニングのテーブルチェアには、少女とその母が向かい合って座っていた。

「今日倒れたって聞いたわよ、それに戯言まで。」
「戯言? 私がいつ戯言なんか言ったかしら。先生たちの聞き間違いじゃない?」
「奏とか何とかいう子を階段から突き落としたとか言ってたらしいじゃない。誰の事? よく思いついたわね」
「それは事実よ、すべて事実。奏を突き落としたのも、私が倒れたのも、奏が存在しない人物だということも。」
「矛盾してない? 奏を突き落としたといっておいて、奏が存在しないだなんて。」
「矛盾してるけど、それは事実。事実よりほかない事実よ。もういい、寝たいの。」

少女はそれだけ言うと、静かにテーブルチェアをうしろに下げ、廊下へ続くドアへ向かって言った。
ドアを閉めると、進むにつれ、どんどん暗くなっていった。

Re: 神的少女は殺戮がお好き【二章完結!】 ( No.23 )
日時: 2011/09/10 17:00
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

夜24時———皆が寝静まった頃、一人の少女は公園にいた。

「嬢ちゃん、夜中にひとりで危ないねェ。お兄さんと一緒に来ない?」
「ごめんなさい———いけないわ。だってお兄さん、殺されちゃうから。」

家から持ってきた包丁を、声をかけてきた金髪に近い茶髪の男性に向ける。一瞬の隙も与えず、腹に包丁を差し込む。赤い血が染み出し、男性の服を染める。返り血は頬にべったりと付き、流れ出た血は少女と男性の足元に、どす黒い血の池を作る。包丁を抜くと、また返り血が飛んだ。男性はバランスを崩し、少女の方へと倒れてきたので、さっとよける。うつ伏せに倒れた男性のポケットを見やると、黒いものがあり、街灯の灯りで銀の金具の部分がキラッと光る。少女はそっと黒いものを取り出し、調べてみた。するとそれは、ポケットナイフだった。

(私を殺そうとでも思ってたのかしら、バカねえ。誰も私のことは殺せやしないわ。)

ククッと笑ってみせると、包丁をもう一回男性に刺して、引き抜き、血を眺めた。両手に血の滴る包丁と、ポケットナイフを持ち、家へと帰って行った。
包丁に付いた血を洗い流し、元に戻すと、自分の部屋に戻り、ポケットナイフを鍵付きの引き出しに入れた。そして、ベッドに寝転んだ。相当疲れていたようで、スヤスヤと眠ってしまった。

第三章 結