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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【二章完結!】 ( No.24 )
- 日時: 2011/10/10 18:00
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
第四章 監視している鬼は見つかった
「あっ、相部さん……」
「忘れ物?」
静かな放課後の学校———
優美を呼んだのは、金髪に近い茶髪の、赤い瞳の少年だった。小学6年生の冬休みに転校してきた罪木獄だ。獄は、黒い鞄を脇に抱えていた。
「まあ、そんなところです。相部さんは?」
「人のこと聞く前に、自分の心配したらどう?」
「え……?」
「忘れ物を取りに来たっていうのは嘘———よね。あなたって本当は、『鬼』なんじゃないの。」
「そんな……」
「私が見間違えると思って?」
優美は、人が変ったように冷酷な瞳をしていた。人を見下すような口調に、人を見下すような瞳。獄は震え上がってしまった。優美は口を開き、冷たく凍っているような気のする声を出した。
「あなただって簡単に殺せるの。知ってるでしょ、私が殺戮者になりうる者だということを。目的は、殺戮を監視するため。そのためにここへ来たんでしょ。」
「…すごいですね、僕の正体を見破るなんて。見破った人は誰ひとりとしていなかったのに。でも、殺戮を監視だなんて……」
「そう言ってられるのも今のうちかもよ?」
ニヤリと笑ってみせると、獄の横をすり抜け、長い髪を左右に揺らし、静けさの中に、上履きの足音を残して消えて行った。優美が消え去ると、獄は全速力で学校を出た。その顔はおびえきっていて、悪魔を見たような顔だった。まだ、そのような顔をするのは早すぎたけれど。
第四章 結
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