ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.28 )
日時: 2011/09/13 17:49
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

「どうしたの、大丈夫?」
「ふぇっく、ふぇっく、うわぁぁぁぁん。」
「朱里ちゃん?」
「ふあ……優奈ちゃん。優美は、優美はッ」

顔をあげた朱里の目は赤く、頬には涙が伝っていた。優奈は、それをじっと見つめて聞いた。

「優美ちゃんが、どうしたの?」
「優美は、人殺しじゃない。誰も殺してないよ……」
「人殺し…?」
「誰も殺してなんかいないのに…奏はいないのに…。」
「奏って、誰?」
「幼馴染だったの。でも、でもっ、消えて…いなくなって…」
「失踪したってこと?」
「違う! 優美に消されたの!」
「じゃ、じゃあ……優美ちゃんに殺されちゃったの?」
「そうだけど……違うの!」

無いモノを消すことは出来ない———その自然の法則を破ることは出来ない———それが出来るとすれば優美だけ。今のままの優美なら犯しかねない事を、朱里は知っていた。

「優美は悪魔になったのよ——悪魔に。それを止められるのは——私だけなの。」
「何を? 何を止めるの?」

Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.29 )
日時: 2011/09/14 17:17
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

「殺戮を。」
「さ、さささ、殺戮ぅ〜!」

優奈は飛びのいた。あまりに大声で叫んだものだから、口を手でふさいだが、多くの生徒は、その意味を分かっていないようだった。朱里はいつの間にか、泣きやみ、真面目そうな顔をしていた。気を取り直し、もう一度聞いてみた。

「本当にそれを止めるの? 殺戮っていうのは…間違いじゃなくて?」
「間違いじゃない。」
「どうやって止めるの?」
「優美を———消すの。」

まだ目の赤い顔を窓に向け、優美のような笑みを浮かべた。その姿を、獄はひっそりとみていた。

第五章 結