ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.4 )
日時: 2011/11/23 19:51
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: m3TMUfpp)

第一話 桜の下で消える記憶

 タン、トン、タン、トン、タンッ
 軽やかな足音が住宅地に響く。その軽やかな足音をたてる少女はセーラー服を着ていた。やがて、ランドセルを背負った小学生、可愛らしいセーラー服や、ジャージーを着た中学生が合流してきた。そして軽やかなその足音は、人数が増えるたびに重くなっていく。ダン、ドン、ダン、ドン、ダンッ、さっきと同じステップのはずなのに、アスファルトの道を踏むたびに、少しずつ、少しずつ重くなっていく。その足音をたてる少女は、家を出てから一向に無口だ。胸の前に結んだほんのり桃色のリボンは、どこかさびしそうにふわふわと揺れる。

Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.5 )
日時: 2011/11/23 19:52
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: m3TMUfpp)

 軽やかな足音が近付いて来た。タントンタントンタンッ、その足音の正体は、朱里だった。

「優美ッ、おっはよ〜!」

「おはよう!」

 その重い足取りとは裏腹に、軽やかな声を出した。それでも、重い足取りは変わらない。うわべだけの顔は女優のように自然で、周りに溶け込んでいた。いつの間にやら、きれいに整えられた桜並木の横を歩いていた。満開の桜が地面に落ち、強い風が吹くと一斉に舞い上がり、まだ木に付いている花弁を巻き込んでいく。
 優美の真っ直ぐな長い黒髪は風にあおられて揺れる。時には舞い上がって整えられた髪をめちゃくちゃにしようとするのだが、しっかりとした優美の髪の毛は、そう簡単なことでは曲がらなかった。