PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.54 )
- 日時: 2011/12/09 17:46
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: m3TMUfpp)
「……どうして殺人を犯してはいけないか——今の私にはそれを否定することはできない。
でもね、私は、人を殺すことは、人間失格だと思うの。それがどれだけ楽しくても、どれだけ必要なことでも、絶対、決してやってはいけないの。
どうして殺人をしたがるのか、私にはどう考えたって分からない。朱里ちゃんには……間違った道を行かせたくないだけなの。」
黒く透き通った目は、涙を流していた。ゆっくりと頬を流れ落ちるその涙は、純粋な心を表しているようでもあった。だが、その心を突き破るような冷酷な瞳をしている朱里は、冷たい声で言った。
「間違った道——? 私は一歩たりとも間違った道を歩いたつもりはないわ。
殺人を犯してはいけないこと、否定できなかったでしょ。その時点で、間違った道を指摘することは出来ない。
それに、人のために涙まで流して、何の得があるの? あなたがほしいのは、何? 同情? 笑わせないで、そんなもので私の心は変えられない。もし——私の心を変えようと思うなら、変えられるような代物を持って来なさい。そうね——殺人の証拠とか。まぁ、そんなものどこにもないだろうけどね。」
PR