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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.56 )
- 日時: 2011/09/30 15:08
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
「そんな———同情を買うなんて。そんなこと思ってないよ。」
「じゃあ聞くけど、なんで涙を流すの? 間違った道を行かせたくない? あなたは同情じゃなく、何がほしいの? 何もほしくなくて、涙なんて流せないよね? 間違った道を行かせたくないだなんて言えないよね?」
「それは———っ」
完全に朱里のペースに飲み込まれた。もう抜け出す道などない。真っ暗闇の中の真っ暗闇に飲み込まれたのだから。優奈は黙っていた。時計が一秒一秒を刻みながら、時を告げる。そのうち、優奈は顔を隠して、朱里から離れて行った。
(どうせあの子は分からない。私と同じ境遇に、遭わなければね。私と優美は、同じような立ち位置にいるんだわ。)
いつしか、朱里も分かってきた。自分の立ち位置、境遇、使命———。朱里は何よりも、あのときの優美と同じことをすることで、優美を殺してしまったことを悔やんでいるようだった。
第一章 結
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