ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.63 )
日時: 2011/10/04 17:31
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

「お姉さま?」

そう呼ばれて、梓はハッと目を覚ました。

「あら……また夢を見ていたようだわ。とても恐ろしい夢。血まみれの死体、血まみれの少女。ああ、考えただけでもゾクゾクするわ。」
「まぁ、それはおぞましい。それは未来のことですの?」
「そうかもしれない。でも、こんなことがあり得るのかしら。ねえカラスさん?」

梓は、左手にとまらせたカラスに声をかける。真黒いカラスは、瞳を爛々と輝かせた。でも、しゃべりだすという非現実的なことはしなかった。

「何も答えてくれないの? そう……さようなら」

手を窓の外へ突き出して、カラスを右手で押した。すると、豪快に羽をばたつかせながら、青空の中へと飛んで行った。それを見つめながら、ベッドに倒れこんだ。

梓の双子の妹、渚は、久しぶりに過去に浸ることにした。マルチーズのヴィクトリアを、その華奢な腕で抱えあげ、頭をなでた。耳に結んだ赤いリボンが、純白の体に映える。そのまま、渚は過去の夢へと旅立った。

第二章 結