ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.68 )
- 日時: 2011/10/10 17:56
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
第二章 過去と未来
「はっ……」
渚は、息を吸い込んで驚いた。今自分の目の前で、神的少女の一人、優美が殺されたのだ。神的少女の一人、朱里によって。
あわてて、時間を変えた。今度は、園香の部屋だった。写真を片手にパソコンをいじくりまわし、落胆していた。
面白くなかったので、また時間を変えた。こちらも、闇の部屋だった。レコーダーを片手にニコ動を見まくり、パソコンをいじくりまわし、ついにはレコーダーを投げていた。それがあたりそうになって、夢から覚めた。
「あらまあ……」
愛犬の頭をなでている体勢で、過去の夢から覚め、ヴィクトリアと同じように赤いリボンで結んだ茶髪のツインテールをなでつけた。ふんわりとカールしている髪が、窓から入ってくる風に吹かれ、揺れる。ヴィクトリアが顔をすりよせ、甘えてくる。
- Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.69 )
- 日時: 2011/10/08 17:30
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
渚は微笑み、窓から空を見上げた。ところどころ白い雲が見える空は、夕焼け色になりかけていた。ふと油断したすきに、また渚は夢へと旅立った。遠い遠い、忘れ去られた過去へと。
かの有名な御園財閥令嬢の、梓と渚。面積13平方キロメートルの、東京ドームとほぼ同じくらいの敷地だ。その双子は、薔薇園のど真ん中にある、オトメチックな離れに住んでいた。それは、その財閥が最盛期だったころの話。今は、その敷地は別の財閥へと渡り、かつて双子が住んでいた離れは取り壊され、跡形もなくなり、薔薇が代わりに植えられている。幼い少女が、重そうなドアを開け、書斎へと入って行くのが見えた。
- Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.70 )
- 日時: 2011/10/09 17:49
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
「お父様、見て見て。綺麗な薔薇でしょう?」
「ああ、話しかけるんじゃない! 私は忙しいんだ! 出ていけ!」
「……うえぇぇぇぇぇぇぇぇん!」
幼い少女は泣いて部屋を飛び出し、長い長い廊下に消えて行った。怒鳴りつけた父親は、コーヒーの入っているカップを閉じられたドアに思いっきりぶつけた。
渚は、一筋の涙を流した。そう、あの幼い少女は渚だったのだ。無意識のうちに時間を飛ばし、また幼い少女の渚が書斎に入ってきた。今度は、金属バットを持って。父親は、仕事が忙しく、机の上にある書類に釘付けになっている。渚は静かに父親に近づき、金属バットを振り上げた。鈍い音とともに、父親が机の上の書類に倒れこみ、血が飛び散った。金属バットには生々しい色の血が付き、幼い少女の渚が書斎を出て行くときに、服に血がついた。
そこで過去に飛んでいた渚が気を失い、それとともに現在へと戻ってきた。