ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【第四章更新!】 ( No.80 )
- 日時: 2011/10/15 16:34
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
階段を降りるような音が聞こえて、ブラウンの木目調のドアが開いた。半そでのTシャツを着た朱里が顔を出した。
「あれ? 優奈ちゃん。」
「ねえ、せっかく優奈ちゃんも来たんだから、三人で遊びましょうよ。その方が楽しいでしょ?」
「いいよ。さ、上がって上がって。」
朱里に促され、二人は家の中へと入っていった。二階に上がり、ちょっと奥へ進んだあたりの部屋に入る。朱里の部屋は、壁の色と同じ白とドアや窓枠と同じブラウンで統一されていた。
「で……話って?」
あらかじめ用意されていたお菓子をほおばり、いい香りのする紅茶をすすりながら朱里は訊いた。愛犬に持参のジャーキーをあげながら紅茶をすする渚は、こう答えた。
「今だから単刀直入に訊くけど、神的少女のことで。」
「……まさに単刀直入だね。てことは、優奈ちゃんも?」
「そう。」
優奈の代わりに、渚が答える。何が何だか分からず、優奈は二人を交互に見つめた。
「神的少女って……?」
「あれ? 知らなかったの。もう知ってるかと思ってたけど。
「じゃあ、朱里ちゃんは自分が死神少女だって知ってたの?」
「うん。知らなくて殺人ばっかりすると思った?」
「いや、でもやる人はやりそうだと思って……」
「あのっ……!」
やっとのことで声を出した優奈は、二人の注目の的となった。渚がああ、というような表情をして、朱里を見やった。
「ああそうだった、質問に答えなきゃ。私から言っても?」
「どうぞ。」
「神的少女というのは、選ばれた少女だけがなれる特別な存在です。あ、これ少年版もあるよ、神的少年っていうらしいの。
その中には私のお姉さまの能力の未来予知能力の未来少女と、私の過去飛来能力の過去少女と、朱里ちゃんの存在抹消能力の死神少女があります。優奈ちゃんは親切少女っていって、困ってる人を見ると助けたくなる能力があるの。未来予知とか過去飛来とか言ってるけど、水晶玉で見るとかカードで占うとかじゃなくて、実際その時まで意識を飛ばして見に行くのよ。朱里ちゃんのは残酷だけど、殺した人をこの世から抹消出来るの。優奈ちゃんはただの親切さんってとこかしらね。」
「他は何かないんですか?」
- Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.81 )
- 日時: 2011/10/16 10:50
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)
「他? 記憶少女っていうのがあるらしいけど……誰だっけ? 朱里ちゃん。」
「奥山樹奈っていう昨日二年に転校してきた先輩だよ。これ、情報少女の闇から聞いた。」
「闇さんって情報少女っていう……え! 闇さんも神的少女だったんですか!」
「うん。ついでに言うと、ほら金髪みたいな茶髪の男子、いたじゃない? ほらほら誰だっけ、名前が……ほら」
「朱里ちゃん名前忘れたの? えっと……罪木獄?」
「そうそれだよ! あの人は鬼少年っていって、鬼と人間のハーフにしか現れない能力を持っているらしいの。でもね、鬼少年になるには、相当大変らしい……というのを聞いたことがある。」
「それは誰からですか?」
「これも闇。」
「闇、ある意味天才じゃない?」
「そうですね。」
「そういえばさ、なんでこんなにしゃべってるんだろう。今まで神的少女だってことお互いに確認し合ってなかったでしょ。今日渚がこの話を持ち出していなかったらこんなに話すこともなかったし、これからも話さなかったかもしれない。優奈ちゃんも神的少女だったし、私は危険な能力持ってるし、渚はなんかすごい能力持ってるし、私たちって不思議な人なのね。」
三人は、改めて神的少女であることを実感した。そこで用意されていたお菓子もなくなり、不思議なガールズトークも閉幕となった。
結局、優奈は思い立ったことを実現できなかった。ポケットにあるナイフを握り、そこにナイフがあることを確かめた。優奈は、何かを忘れようとするようにそのポケットから手を抜いた。
第五章 結