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Re: 神的少女は殺戮がお好き ( No.86 )
日時: 2011/10/21 17:03
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

第六章 記憶少女とあの人

「今日も張り切っていきましょう〜!」

流星が言うと力こもった感じがしない。逆に抜けた感が出て面白い。樹奈は、セーラー服のリボンをいじくりながら記憶を読んだ。朱里たちはこちらの存在に気づかず、廊下で話しこんでいる。

「昨日は、神的少女についての話をしたみたい。とんだガールズトークね。で——今日は何を調べるの?」
「えっとですねぇ〜」

手に持っているノートをパラパラとめくりながら、こちらもセーラー服姿の流星が答えた。

「ありましたぁ〜、今日は殺戮の気はないか調べることですぅ〜」
「殺戮……物騒な世の中ね。ほんと、なんでこんなの着てまで調べなきゃならないの?」
「近くにいれば、いつでも記憶が読めますぅ〜。それにセーラー服、夢だったんですよぉ〜」
「あっそーですかっ。」

樹奈はそっけなく返事をした。また朱里に集中し、記憶を読む。二人はおととい、この学校に転校してきた。殺戮を監視するために——。

「この学校は神的少女たちの集まる学校なのではないか、と感づいてる。殺戮の危険性はまだ消えたわけじゃないわね。なにせ、死神少女に親切少女、過去少女がそろってるんだもの。ここに未来少女が加わると、もっと危険度は増す。気をつけないと。」
「そうですねぇ〜気をつけないとぉ〜」
「何のんきに言ってんの? 流星が言うと全然注意してるように聞こえない。」
「酷いですぅ〜こんなに頑張ってるのにぃ〜」

そんな流星を放ってズカズカと廊下を駆け抜け、階段を上り自分の教室へ戻っていった。樹奈のクラスの担任は、神的能力者だった。記憶読み能力を持っている。樹奈は、その担任から色々なことを聞いた。進歩すれば、記憶を塗り替えることもできるし写真からでも記憶を読みとれる。

(もし——私が記憶を塗り替えることができるなら、あの人の役に立てるだろうか。もし——私が写真からでも記憶を読みとれるようになったのなら、あの人の役に立てるだろうか。……もしあの人の記憶を読めたなら——)

ふと、あの人の顔が頭に浮かんだ。冷たく冷静な顔、鋭い目つき、真っ黒のスーツ。樹奈を育ててくれた優しかったころのあの人——いつあの人は変わってしまったのだろう。いつ私はこんなことをするようになったのだろう。その答えは、本当に見つかるのだろうか——

第六章 結