ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

黒い蝶は闇に消える ( No.10 )
日時: 2011/09/19 22:16
名前: 璃亜 (ID: O72/xQMk)

No.5 「月から」


蝶はまた、自室の何時もの窓辺に座っていた。
今宵は満月で、月明かりが眩しい。
まるで天から何かが降りてきそうだった。
蝶もそんな事を考えていると、月に影がみえる。
よく見てみると、それは深緑色の髪で、黄色い瞳を爛々と光らせているレオンだった。
蝶は驚いたが、窓を開けレオンを中に入れた。

蝶「随分と懐かしいわね・・・。半年位の再会じゃないかしら」
レ「そうだな。俺が居なくて寂しかったか?」
蝶「・・・ふざけた事言わないで頂戴。殺すわよ?」
レ「そりゃ勘弁してほしいな」

レオンは蝶の部屋を見回し、ため息をついた。

レ「まだこんな殺風景な部屋に居たのか、お前」

半年前と全くと言って良いほど変わらない部屋なのだ。
レオンの問いに、蝶は微笑を浮かべ答えた。

蝶「ええ。別に貴方の部屋ではないし、良いでしょう?」
レ「まあなぁ・・・」

レオンはまたため息をついた。
蝶はまた窓の外の月を見上げた。
その月はまだ、明るく光っていた。

レ「お前は本当に窓の外を見るのが好きだな」
蝶「ええ・・・。だって面白いでしょう?人間の生活を見たり、外の景色を見るのって」
レ「俺はそうとも思わんがな」

そんなやりとりをしていると、蝶の近くに常磐緑色の蝶々が飛んできた。
蝶はちらりとレオンの方を見たが、すぐに蝶々を手紙にかえた。
蝶はその手紙を開けたが、そこには一文字しか書かれていなかった。

『殺』

とても呪いや憎しみを感じた手紙だった。
蝶は手こそ少し震えていたが、口は笑っていた。
レオンもだった。

レ「これは・・・上手そうな魂が喰えそうだ」
蝶「憎しみは・・・人さえも恐ろしくさせる」

蝶はレオンと共に依頼者の元へと飛びたったのである。