ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

黒い蝶は闇に消える ( No.11 )
日時: 2011/09/21 17:31
名前: 璃亜 (ID: O72/xQMk)

No.6 「手助けの蝶々」


蝶「此処のようね・・・」

蝶は夜道を辿り、依頼主のいる所にたどり着いた。
そこは荒地で、人気(ひとけ)も無かったが、一人の若者が、横になった土管に腰掛けていた。
その若者は口に笑いを浮かべ、ゆっくり前を向いた。
蝶は一瞬、その若者の瞳に一歩後ずさりしてしまった。
その瞳は黒こげ茶色の瞳だったが、憎みの執念が固まっている瞳だったからだ。

?「誰だ・・。俺に用か?」
蝶「私は黒泉蝶・・・。貴方の恨みを晴らしに来たの。・・・【堂凛 斗無(どうりん とむ)】さん・・・」
斗「俺の恨み晴らしねぇ・・・。俺の恨みは簡単にゃぁ晴れねぇぜ?」
レ「それが分かっていてこそ、面白いだろ」

蝶とレオンをまじまじと見た斗無は、土管から背を離した。
そして蝶の前まで来ると、姿勢を崩して言った。

斗「出来るっつぅんなら、一杯やってもらおうじゃんか?」

蝶はにやりと笑った。
そして紙と筆を出すと、斗無に差し出した。

蝶「では、恨む方の名前、書いて下さるかしら?」

すると斗無は、紙と筆を貸して貰うなり、紙一杯に名前を書いた。
これには蝶もレオンも驚いて、目を見張った。
そして蝶は書き終わった紙を渡された。
蝶は冷や汗を頬に垂らしながら、口に微笑を浮かべた。

蝶「・・・すごいわね・・・」
斗「恨みてぇ奴ならもっといんぞ?」
レ「どんだけの恨みがあるんだろうな。美味そうだ」

蝶はレオンに視線を向けた。
レオンは蝶を見下し、視線を斗無に戻して頷いた。
すると蝶は顔の前に手を出し、ふっと息を吹きかけた。
次の瞬間、蝶の手の甲に竜胆色の蝶々がとまっていた。

蝶「この蝶々は貴方の恨みを消す助けとなるはずよ・・・」
斗「ふ〜ん。便利なモンあんじゃねぇか」
レ「使いすぎには気をつけるんだな」
蝶「私達もなるべく努力するわ」
斗「・・・頼む・・・!!」

斗無は笑いながら去って行った。
蝶とレオンは、射すくめるような瞳で斗無の背中を追ったのであった。