ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 黒い蝶は闇に消える ( No.20 )
日時: 2011/12/05 21:31
名前: 璃亜 (ID: O72/xQMk)

No.10 「斗無の過去」


斗「あぁーーはっはっはっはっは!!!!」

斗無は笑っていた。
蝶が手渡した蝶々を片手に持って。
まるで楽しい事を行っているかのように、一人で笑っていた。

斗「俺の前に立ちはだかる邪魔な奴は、全員殺すのみだ・・・!」

今まで殺してきた屍の数などお構いなしに、まだ恨む者を殺そうとしていた。
斗無が狂うようになってきたのは、今から約5年前の事だった・・・。
5年前、斗無は両親を事故で亡くした。
身を寄せたのは叔母の家だったが、叔母や叔父は斗無を乱暴に扱い、殺された。
斗無はこのころから、人に【恨み】を持つようになったのだ。
親戚や親類にも嫌がられ、何時もともに行動していた友にさえ見捨てられ、一人きりの人生だった。
このころの斗無の口癖は、

【何時か恨みを晴らしてやる。何時か全員殺してやる・・・!!】

だった。
この言葉を何時も呟くようになり、更に周りの人間から避けられた。
そしてその言葉どうり、実行しようとした時に現れたのが、黒泉蝶だ。

蝶「恨みを晴らす手伝いをするわ」

蝶はそう言い、斗無に蝶々を手渡した。
渡してしまったのが、正解か不正解かなんて誰にも分からない。
斗無はそのことが分かっていても、蝶々を使う。
そして今日も、沢山の恨む者を殺していく。

斗「俺は・・・俺の信じる道を行くだけだ・・・。たとえ、その先が間違っていてもな・・・!!」

座っていた斗無は立ち上がった。
そして、フンと鼻で笑い、居た場所から去っていった。
何処からきて、何処に行くかも分からない。

斗「かはっ!あはははははははは!!!!!」

そして今日も又、何処かから斗無の嘲笑う笑い声が聞こえてくるのだった。