ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 黒い蝶は闇に消える ( No.3 )
- 日時: 2011/09/11 17:41
- 名前: 璃亜 (ID: O72/xQMk)
No.2 「嘘」
蝶「貴方の恨みと願い・・・聞き届けたわ。では、恨みをぶつけたい子の名を書いてくれるかしら?」
咲「う・・・うん。」
咲は返事をすると、蝶から貰った筆で名前を書き始めた。
咲を怪我させた、という子の名前は【坂波 由奈(さかなみ よしな)】。
咲「ホントに・・・叶えてよ!」
蝶「ええ。私は嘘はつかないわ・・・。では、今夜にでも」
蝶はそれだけ言い残すと、風と共に消えていった。
咲は、まだ疑わしいという目で、蝶の居なくなった場所を見つめていた・・・。
蝶は、またアパートの一室に戻っていた。
そして、自分の言った言葉を考えていた。
『私は嘘はつかないわ———』
そして目を閉じて天上の方を向き、ふっと笑った。
蝶「嘘・・・ねぇ」
彼女は瞳を空に向けたが、その瞳は血のように紅かった。
—真夜中—
由「じゃーねー!」
由奈は友達と別れて、家に帰るところだった。
三日月に照らされて明るい夜道を、鼻歌まじりで通っていた。
だが、突然後ろに気配を感じ、止まった。
蝶「こんばんは・・・。坂波由奈さん・・・・・・」
由「だ・・・誰よ!?」
蝶「私は黒泉蝶・・。貴方に聞きたい事があるのだけれど、宜しいかしら?」
由「何よ・・・」
蝶「宮弥咲さんに怪我をさせたのは、あなたかしら」
由「!!・・・くっあはははははは!!!!」
蝶の質問を聞いた途端、由奈は顔を引きつらせたが、すぐに笑った。
その様は、まるで狂い笑をしているようだった。
そして笑い終わり、由奈が顔を上げた時、由奈はにやりと笑っていた。
由「えぇ、そーよ。あの子、いつも人気でうざったいから、少し痛い目合わせてみたってだけじゃない」
蝶「実はその咲さんから、復習したいと依頼が来たの」
由「はぁ?だから何よ?あんたが変わりにやるって言うの?」
蝶「ええ・・・。でもそれは、成り行き次第・・・」
そういうと蝶は、【漆黒の蝶】を飛ばし、姿を消した。
由奈は状況が掴めないままだった。
唖然とした顔のまま、首を傾げた。
由「なんだったのよ・・・?夢でも見たのかしら・・・。」
そして顔を上げて歩き出した。
信号に当たると、赤だったのだが、車が通ってない隙に走って渡ろうとした。
その瞬間・・・。
キキイイイイイイイイ!!!ププーーーーーーーーーーーー!!!
ブレーキの音と、クラクションが同時に鳴った。
そして由奈は・・・、足を両方とも怪我(骨折)してしまったのである。
蝶「ふふ・・・。貴方から頂く物は、正常な足・・・。」
蝶は建物の屋上、月明かりの良く当たる所から、由奈の様子を見ていた。
そして、救急車が来たのを確認すると、その場から去っていった。
蝶「私は嘘はつかないわ・・・」