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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒い蝶は闇に消える ( No.33 )
- 日時: 2012/04/04 20:02
- 名前: 璃亜 (ID: O72/xQMk)
13話「宣戦布告」
豹牙とリィが帰った後の蝶の部屋は、何時もに増して静かに感じられた。
窓辺には蝶が、その隣にはレオンが、思うままに過ごしている。
レ「で。結局あいつらはなにしに下界に降りてきたんだろうな?」
蝶「さぁ?私が知る筈もないでしょう。依頼でも受理したのでは?」
レ「でも依頼に来たって雰囲気でもなかったよな」
蝶「そうね。まぁ何にせよ、私には関係ないわ」
蝶は何時もと同じ窓辺で、同じ景色を見ていた。
すると、遠くの方から何かが走ってくるのが見える。
蝶は疑問顔で眼を凝らす。
と、幻影の豹が走っているのが分かった。
かたんと窓を開けると、ブルーサファイア色の透き通った豹が入ってくる。
蝶が手を差し出すと、その上で豹が文字に変わる。
『お前の依頼主 堂凛 斗無 と手を組んだ。
お前は、俺が潰す。
覚悟しておけ。
豹牙』
蝶は呆れて言葉も出なかった。
レオンは、蝶の後ろで面白そうに笑っていた。
蝶は返事を書こうと蝶々を作り出した。
その蝶々は、勿忘草色をしていた。
レ「お前に宣戦布告って奴か?どうする蝶。乗るのか?」
蝶「勝手にやっていれば良いわ…。只、壱つだけ気に入らないのは」
蝶は文を書いていないほうの手を差し出して、蝶々を出す。
その蝶々は、斗無の依頼が来たときの蝶々だった。
蝶々は、紅い炎の中で消えた。
紅い炎は、依頼不達成を意味している。
蝶「依頼を最後まで出来なかった事かしらね。まぁ良いわ」
蝶は開け放した窓から外に手を伸ばす。
その手には、勿忘草色の蝶々が乗っていた。
蝶「何所にいるかは分からないけれど…。白滝豹牙宛て。行ってらっしゃい」
蝶々はひらひらと飛び立っていった。
行ったのを確認すると、窓を閉じる。
蝶は、何事もなかったように、また窓の外を眺めていた。
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