ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 混沌な主人公は今日も不機嫌なようです。【参照500突破!?】 ( No.98 )
- 日時: 2011/10/22 14:41
- 名前: Spade ◆1R8FyXsIeY (ID: OXTNPTt9)
————“これで計画通りデスね”
一瞬の出来事でした、私がその声を聞いた瞬間に———全てが暗転しました。
いえ、私に限らずそれは、ライラさん、そしてメイレンさんも同じです。
私達が王室から背を向けた瞬間、首の後ろに強い衝撃。その瞬間身体から力が抜け、その場に倒れ込みました。
「…すみません、貴方達は私達の計画には邪魔なんデスよ」
私は今にも意識がはなれそうになりながらも、背後の人物を睨んでいました。
鋭い目、敵を見るような眼つきで私が睨んでいたのは紛れも無い———
「レオ…様?」
「おや?まだ意識がありますカ、貴方が小さいからと言って手加減したのが間違いでしたネ」
この瞬間、私は全てを悟りました。
この城の騒ぎはおそらく、彼のせいであるのだと。
…、
しかし、その考えは間もなく修正される事となります。
そう、それは国王様の言葉によって…でした。
「ククク…オイオイ、餓鬼だからって手ェ抜くな。いくら餓鬼でもパーティメンバーの一人だぜ?」
「はは、これは申し訳ありませン。貴方に“国王のフリ”までさせてしまったというのに」
「!?」
そしてその言葉を聞いて気付きます。国王様は、確かに目の前にるのです。けど、違います。彼は…
…彼は、国王様じゃない『偽物』———!
それを知った瞬間、私は絶望しました。
体から意識が完全に遠のきそうになります。———嘘だ、違う!こんなの悪い夢なんだ!!
「…さて、しかしどうしましょう?」
しかし、絶望するにはまだ早かったのかもしれません…私は、予期せぬ事まで耳にしてしまったのです。
本当の絶望は、その瞬間私の身に降りかかってきたのです。
「この城を爆破するのはいいですが、この人たちの処分はどうすべきでしょうカ?最初は引きこむと仰っていましたが」
「あー?じゃあこのままかっ攫うか?クククク…」
「——やめとけ。少なくとも、そこの餓鬼が反感を持ったろーしな。何も知らないはともかく、もう無理だろ」
その声は…そう、執事様の声でした。
前までの丁寧口調は姿を失せていました…そう、彼もおそらく———城の者ではないのでしょう。
いえ、私はそれ以上に聞いては無いらない事を聞いてしまったのです。
「城を爆破……ッ?」
「んあ?何、まだコイツ意識あるのか?へぇ、大した精神力だ、な!」
—ガッ!
私がまだ意識があると知った執事様は、そう言うと私の背中を思い切り踏みつけました!
「ぅ…ッ!」
私はその瞬間、悲鳴を上げました。そしてブツリと、意識が途切れました。
…しかし意識が途切れる瞬間、私はあの人の言葉を思い出していました。
“お前って、世界の誰もが善人だとか思ってそうだよな。もちろん、勇者なんて尚更”
私は、信じたかっただけなんです。
“あの時の私”に一つの希望をくれたように、勇者様は私にたくさんの希望を与えてくれるのだと。
———それを信じて、来たんです。
だから…私は彼のあの時の言葉を信じれる訳が無かったんです。
だって勇者様が——こんな人だと思わなかったから。
人を守るべき人が、こんな人々の命を脅かす様な真似をするとは思わなかったから。
…私は声になるかなるかならないかの声で、ふと言っていました。
「信じた私が…馬鹿みたいですよね…」
私の意識は、完全に途切れてしまいました。