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Re: 境界線上の2人〜悲しき恋の物語〜 ( No.6 )
日時: 2011/11/03 20:32
名前: 将軍 (ID: W/J3Y1r6)

第5話
「…早すぎた…かな?」
小百合駅に向かいながら、腕時計を見た、時間は9時を指していた
…10時に集合だったから、早すぎたな
小百合駅に着くとそこにはナンパされそうになっている林がいた
「なぁ、お嬢ちゃん俺らと遊ぼうぜ」
軽そうなチャラ男が林の腕を引っ張っていた
「い…嫌、離して」
震えながら腕を振りほどこうとしていたが、男にしっかり腕を掴まれているので振りほどけない
「やめろ…俺の連れだ…」
林の腕からチャラ男の手を剥がしてから、林の前に立った
「ちっ、彼氏持ちかよ」
チャラ男たちは苛立ちを隠さずそのまま歩いていった
「こ、怖かったよ〜」
泣きながら佐崎に抱きついた
「もう…大丈夫…だから」
優しく声をかけて、頭を撫でた
「ありがと、もう大丈夫だから、で何処に連れて行ってくれるの?」
涙を拭き、笑顔で佐崎に聞いた
「あぁ…此処に行こうと思う」
この前店長からもらった遊園地のチケットを出した
…女って、すごい立ち直り早いなぁー
「あっ、此処って凄く人気があるんだよね〜、それじゃあ早く行こ」
佐崎の腕に自分の腕を絡めた
「あぁ…」
佐崎は少し顔を赤くしていた

「さっきのジェットコースター凄かったね」
お昼時、遊園地の中の売店でジュースを買って、林が作ってきたお弁当を食べていた
「林さん…お化け屋敷のお化け見たとき…すごく怖がってたな」
林が作った、おにぎりを食べていた
「だって、いきなり出てきたんだよ!」
その時の事を思い出したのか、少し涙目になっていた

夕方、遊園地の帰り道
「林さん…少し…寄りたい場所が…あるんだけど…」
「うん、じゃあそこに行こ」
少し歩いて、人通りが少ないところに小さな森のようなところがあり、その奥には大きな桜の木があった
「此処…なんだけど」
「すっごく綺麗」
桜の木の下で佐崎と林は座った
…自分の気持ちに正直になろう
「俺は…あと1年しか…生きれないけど…それまででもいいから、俺を…愛してくれるか?」
意を決して林に言った
「うん…ずっと佐崎君だけを愛してるよ」
佐崎に抱きついた
「俺の事は…竜司でいい」
「なら私も里香って呼んでね」
「分かった…里香」
佐崎は林を抱きしめ返した
「竜司が死ぬ時までずっと傍にいるからね」
「なら…俺は死ぬ瞬間まで里香を…愛し続ける」
「また来年…この桜2人で見ようね」
「あぁ…また見に来よう」
抱き合う二人を見守るように夕日がずっと二人を照らしていた