ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: crazy diary ( No.14 )
日時: 2011/09/24 14:55
名前: hei (ID: Fa1GbuJU)

第二話

窓ガラスを雨が激しく打つ。
六月に入り本格的にこのあたりも梅雨入りした。

「姉貴!洗濯物干すの手伝え!!」

空気がじめじめしているせいか、俺はまたイライラし始めた。

(まったく、俺の姉の性格はどうにかならんのか・・・)

どこまでもだらしのない女だ。休日とはいえ、昼前なのに未だに寝ている。
姉の名は綾香といい、職業はOLなのだが・・・、正直言って仕事がマトモにこなせているとは思えない。
給料が入っているのだからクビにはなっていない様だが、この不況の折、こんな姉を雇う会社の経営は大丈夫なのかと本気で疑ってしまう俺であった。

「おい、いい加減起きろ。飯抜きにするぞ。」

「飯」のワードに反応したのか、ベッドの上の姉がもぞもぞと動き薄目を開けた。

「ふぇ・・・?ご飯出来たの・・・?」
(このアマ暢気なことを抜かしやがって・・・っ!)

むかついたのでいつもの通りベッドから蹴り落としてやった。
ようやく目が覚めたらしい姉はゆっくりと起き上がり大欠伸をする。

「・・・おはよう」
「喧嘩売ってんのか!昼前だぞ!?」

・・・だめだ。この状態の姉は会話するだけで怒りがこみ上げてくる。
俺は寝起きの姉の顔を睨み付けてやった。

(・・・無駄に綺麗だな・・・)

純粋にそう思う。顔の作りが良いというのか、クセのない均整の取れた顔立ちをしている。そう言えば、会社の男に良く奢ってもらうと姉自身の口から聞いたことがある。

(まさかこの女、会社の男達に仕事押し付けてるんじゃ・・・)

本気で俺の姉はダメ人間かもしれない。そう考えると頭が痛くなってくる。

「とにかくさっさと起きて顔洗って飯食え。んで洗濯物手伝え」
「キャー、恭一が冷たいよー」
「・・・・・・」

こんな姉をボコボコにしても俺は罪に問われなければいけないのか。
リビングに戻って割と本気で日本の法律の不条理さを恨んでみる。
と、その時、ポケットの携帯が震えた。メールだ。
送信者は——「派閥」だ。本文はごく短いものだった。

「仕事受注。いつもの通りへ。赤いネクタイの男。」