ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人生ゲームはデスゲーム 【なんか一章終了した】 ( No.13 )
- 日時: 2011/09/29 21:12
- 名前: No315 (ID: vBUPhhME)
第二章「世界のルール Game Rule」
「う……」
太陽の日差しと涼しい風。そして、かすかな砂の味を感じながら、俺は目を覚ます。
結構な間、気を失ってたのだろう。ゆっくりと立ち上がるが、まだ意識が朦朧としている。
俺は中途半端な意識の中で、日差しや風、鳥達の鳴き声、そして、子供達のはしゃいだ声を感じてまた眠りに……
ん?子供の声?
俺は一気に意識を回復させ、辺りを見渡す。俺が立っているのは、人気のない空き地のようで、子供の声は少し遠くから聞こえる。
俺は、空き地を出て、声がする方へと走る。
そこは公園らしく、入り口まで辿り着き、公園の中を見る。
そこには……
「人が……いる……」
たくさんの遊具で遊んだり、走ったりする子供達。それを見守りながら、他の人と雑談をしている母親達。他にたまたま通りかかってベンチで休憩する学生達。たくさんの人でありふれていた。
俺は最初、夢を見ているのかと思った。
カーレルの言っていた世界はとても危険な所。だがこれでは、ただの平和な町ではないか。
だが頬を抓ったりしても無駄に痛いだけで、目の前の景色が変わることはない。
と、誰かがぶつかってきた。
俺が見ると、大人の女性で、ぶつかったことに気づくと笑顔ですみません、と謝ってきた。
俺はすぐさまいいえ、と笑顔で返すが動揺のあまり、少し声が掠れたかもしれない。
俺はわけが分からなくなってきて、がむしゃらに歩きだした。
数十分後
報告します
篠崎紅架。十七歳。
道に迷いました。
まぁ知らない町を歩いていたのだから道に迷うのも当然だな。
歩いている途中で気づいたのだが、俺の着ている服装が、学校でよく着ている奏神高校の制服ではなく、どういう原理か俺が休みの日に愛着している、赤と黒をコントラストとした薄着のシャツとその上に、黒のコート、そして、簡素な長ズボンといった私服に変わっていた。
これは俺の予想だが、あの医者達が俺に麻酔がわりに使った『デジタルダイブ』。あれは医者の言う通りだと、たしか脳神経を操り、五感をこの擬似世界に持っていく技術。そんな高度な技術を持ってるわけだから、二年前、記憶制御の専門家、天城龍戸が発表した、患者の記憶を読み取ることができる技術『メモリアルスキャン』も当然使えるのだろう。そして『デジタルダイブ』をする前、つまり俺がまだ事故で気を失ってる時に『メモリアルスキャン』を使い、俺の私服を読み取り、保存。そして、そのデータを『デジタルダイブ』の機械に送信すれば、後は自動で俺の五感の中の視覚、そして痛覚を操り、この私服姿になった。
これは全て予想だが、もし本当だとすると、だいぶ手間のかかった再現をするものだ。
どうして、あの連中はそこまでしてこんなことをしているのだろう……。
「そこまでは、連中の目的が分からないと無理か……」
俺は呟きながら、ずっと歩き続けている。考え事に浸っていたせいで、いつのまにか人が少ない道に来てしまったようだ。
いや、人がいない道と言ったほうがいいか。
俺はそのことに気づき、立ち止まってから辺りを見渡す。
ここは、数々の店が並んでおり、とても人が通らない道には見えない。
俺は、なにかいないのかと聴覚に集中させ、周りの気配を探っていると、不意に地響きを感じた。
「は?」