ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人生ゲームはデスゲーム 【ただいま三章目】 ( No.20 )
- 日時: 2011/10/22 23:18
- 名前: No315 (ID: vBUPhhME)
その日、翔と紅架はいつものように歩きで下校していた。そしていつも通っている奏神公園を抜けた所で、紅架の元にサッカーボールとその持ち主の子供が現れ、その子供が走り去っている所でいきなり紅架の様子がおかしくなった。
紅架は走り去る子供に何かを叫び、それが聞こえていないと知るや、物凄いスピードで走りだしたのだ。その時翔は、いきなり走りだした紅架を呼び止めようとしたが、紅架は聞こえていないのかそのまま走り続ける。そして紅架がその子供に追いつくとその小さな体を突き飛ばし、それは起きた。
派手なクラクションと甲高いタイヤの滑る音が同時に響き、紅架に何か巨大な物体が目にも止まらぬ速さでぶつかってきた。紅架はその物体に抗うことはできず、まず頭を強打され、服などが何かに引っかかったのだろう、そのまま前に進もうとする物体に紅架は引きずられ、その物体——電気自動車が止まる頃には紅架は奏神高校の制服を赤に染めていた。翔はその光景をいまだに理解することは出来ずにただそこに立ち止まっているだけだった。だが、先ほどの子供の泣き声ではっ、と目を覚まし、鞄を放り投げながら、紅架の元へ走る。
ただ紅架の名を叫びながら。
その後、翔は車の運転手の携帯を取り上げ、病院に連絡した。そして一番そのまま翔と紅架は埼玉の私立総合病院に送られた。そして、紅架はまずそこで、手術をするのだが、あまりにも外的傷害と脳のダメージがひどいため、応急処置だけをして、県病院に任せることになった。そこで埼玉ではなく、東京の新宿のとある病院に紅架が輸送されると翔と病院の連絡を聞いてやって来た紅架の家族達は告げられ、翔は紅架の家族に送られ、新宿へと向かった。
そして、今に至る。
今、紅架は、怪我はなんとか全て治したが意識不明の状態で様子を見る状態となっている。脳のダメージはまだ深刻な状態なので、安静にするために、翔達はロビーで待つことになっている。ロビーには翔と稔以外に紅架の父親や奏神高校の教師などが来ている。いつもの翔なら待ち時間がある時はいつも誰かと雑談などをするのだが、今はとてもそんな気分にはなれない。なにせ、翔はもしかしたら紅架をこんな目に遭わせずに済んだのかもしれないのだ。
あそこで紅架を止めていれば、紅架を救えたかもしれない。
あそこで男の子に会わなかったら、紅架は走り出さなかったかもしれない。
あそこであの道を通らなかったら……
あそこで俺が、紅架を誘わなかったら……
いくらでもあそこで紅架をあんな目に遭わせずに済んだ方法があったかもしれない。いくら仕方ないと言っても親友が目の前で事故に遭ったのだ。それで平気でいられるはずが無い。