ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 人生ゲームはデスゲーム 【四章目開始っすな】 ( No.36 )
日時: 2011/12/23 22:24
名前: No315 (ID: D71pwe7j)


「よし、とりあえずその「隔離」ってのは分かった。分かったから次からもっと丁寧な説明をしようじゃないか」

「なんだ。面倒くせぇな……んじゃ、どうせ人いねぇしイフリート・フレイム出せ」

 俺はとりあえず次の説明が懇切丁寧なのを祈りながらイフリート・フレイムを両手足に出現させる。

「よし、それじゃあイフリート・フレイムに向かってどんなスキルがあるのか念じて聞いてみろ」

「は? いやいや。俺は別に自分の武器に話しかけたくなるほど寂しがりやじゃないぞ」

 正影が突然変なことを言い出したので、俺はすかさず反論するが、正影は「早くやれ」と聞く耳を持たない。
 しかたなく俺は心の中でイフリート・フレイムに向かって「この武器のスキルは?」とまるで検索するワードを打ち込んでる気分で聞いてみる。
 すると頭の中に複数の文字が音も無く展開されていく。突然の事に少々驚くが、とりあえず展開された文字を上から読んでみる。まずは『武器能力』という文字の下に『隔離』『身体能力倍化』『武器強固』とおそらくイフリート・フレイムに付随してるスキルの名称が書かれている。
『武器強固』というのが何なのか分からなかったので、その文字を凝視と言うと違うかもしれないが、とりあえず頭の中でその文字に意識を向ける。すると、『武器強固』以外の文字が全て消え去り、『武器強固』の下に「どれだけ強力な衝撃を受けても『武器破壊』の武器能力が無い限りこの武器が破壊される事は無い」と説明文らしきものが現れる。
他の『隔離』や『身体能力倍化』なども説明文をよく読み、他に何かないか探してみて無い事を確認してから「もういい」と唱えると、頭の中に浮かんできた複数の文字が一斉に消えていった。

「よ〜し、よく分かった」

 俺はNPCがいなくなった辺りを見渡しながら満足そうに呟く。

「とりあえずこのスキルを使って怪共をコテンパンにすりゃいいんだな」

「まぁ敵は怪だけじゃなくプレイヤーもいるんだが……とりあえずそんなもんだ」

 正影は俺の様子を見て問題ないと取ったのか「隔離」を解除してビスマルクを消す。そして戻ってくるNPC達。俺もイフリート・フレイムを消して(具体的に言うと「隔離」で一時的に武器を消去して)戻ってきたNPC達の喧騒を眺める。

「そういや気になったんだけど、NPCの行動って一定のパターンがあるのか? それともやっぱ自由に動いてんのか?」

 客が商人に何かを注文し、商人が注文の品を渡して代金を受け取るのを眺めながらふと気になったことがあり、隣の正影に聞いてみる。

「あぁ、朝昼晩、晴れ雨曇り嵐、春夏秋冬によって行なうことは決められているが、あいつらにも人工知能があるからな、気分次第で行動が違ったりするぞ。それに単純だし」

「単純? もしかして嫌な事があれば苛々するし嬉しいことがあれば喜ぶみいたいな?」

「そうだ。まぁ素直とも言うがな」

「なるほどな……」

 俺は正影の言葉に頷きながらNPC達が運営する数々の店を見る。う〜ん、とりあえずなんか売るのが目的だからやっぱ屋台とか作った方がいいかな? となると飾りつけが必要になるな。いっそ飾りつけも一緒に売り物にして店を開くかな……。
 言っておくが俺は切り替えが早い。先程のNPCの話などもう頭に無いわ! ま、記憶にはあるが。

「んじゃ、俺はちょっと用があるから行くわ。お前はここらへんをうろうろしてろ」

「ん? 用って?」

「休憩」

「うぉい」

 正影が何か唐突に言い出したかと思うと休憩って……道もろくに分からない学生を置いていって自分だけゆっくりする気かよ。

「うるせい。こっちはスキル使いまくって疲れてんだ。お前は売るものや飾りつけを探しておけ。あとあまり遠くに行くなよ。迷子になるから」

 正影は言いたいことだけ言うと、NPCの人ごみを巧みにかわし、あっという間にどこかへ行ってしまった。

「えぇ〜……」

 一方的に取り残された俺は、とりあえず思考を切り替え、先程のアクセサリー店へとで向かっていった。