ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 人生ゲームはデスゲーム 【四章目開始っすな】 ( No.37 )
日時: 2011/12/27 08:44
名前: No315 (ID: D71pwe7j)

大商業区 商売通り 休憩所
 紅架と別れた後、正影は実は凄く近い所にあった休憩所のベンチでタバコを吸いながら休んでいた。周りのNPC達が少し嫌そうな顔でタバコを吸ってる正影を見ていたが、それを気にする正影ではない。正影がわざわざ紅架と別れたのは二つ理由がある。
 一つは単純に疲れたから。怪との戦いで使った「自分の思い浮かべた弾丸を装填する」スキル『夢想弾』は、何度でも使うことをベースとして作られているので疲労は少ないが、それはレアなスキルの疲労を少し減らした程度で、あそこまで何度も使うとさすがに疲れる。
 あのまま紅架と共にいれば休憩する間もなく質問攻めに遭い、逆に疲れる。
 もう一つは、別のことを考えていたかったからだ。
 初めに紅架を家に迎え入れ、紅架がなぜ『この世界』に来たのかを聞いた事がある。その時紅架は「交通事故に遭って病院に運ばれたことまでは覚えてる」と言い、その時に医者らしき人物が言っていた『デジタルダイブ』というものも聞いた。
 昔もいろんなプレイヤーから『ここ』に来た理由を聞いた事があるが、自殺や事故など、どれもこれも全て、死因と呼べる程のものであった。正影も自分が事故に遭った事は覚えているが、ほとんど意識不明だったらしく、まったくその先のことは覚えていない。
 いままではこの情報から「プレイヤーは死んでから生き返ってこの世界に来た」とあまりにも信憑性に欠ける結論が出ていたが、紅架が言っていた病院。そして『デジタルダイブ』。
 何かがある。そう思って正影は紅架にそこの病院がどこかを聞いたが、紅架はかろうじて意識が戻っただけらしく、すぐに気を失ったそうだ。
 とりあえずその病院が何か鍵を握っている筈だ。俺達プレイヤーの悲願「この世界からの脱出」への鍵を。
 さて、手始めにあのふざけた『芝居野郎』でも探して問い詰めてみるかと、正影は吸っていたタバコを傍に置かれていた灰皿に押し付け、二本目のタバコを出そうと箱に手をやったその時。
 いままで正影に嫌悪の視線を送っていたNPC達が全員音もなく一斉に消え去った。

「ったく。今度はなんだ」

 正影は面倒そうに呟きながらタバコの箱を戻し、休憩所から出て行った。