ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人生ゲームはデスゲーム 【四章目開始っすな】 ( No.38 )
- 日時: 2011/12/28 09:34
- 名前: No315 (ID: D71pwe7j)
たぶんおそらくきっと約五分くらい前 大商業区 商売通り
「ま、こんなもんだろ」
俺は呟きながら袋を片手に持ち、そこらを見渡しながら歩いている。袋の中に詰められているのはもちろん店の飾りつけのために、俺の手に入れた金を残金ギリギリになるまで買ったものだ。
とりあえず状況はというと、できるだけ買えるものは買い終わり、もう金も無いのでとりあえず他の店の見物をしながら正影を探している状況だ。
まぁ肝心の正影が見つからないので適当にうろうろしているだけなのだが。
「ま、そこらの店でも回って、どんなものが売れるのか探して見るか」
ずっと待ってるのも退屈だしな、と俺は近くのなにやら服を売っているらしい店に近づこうと歩くが、
「——あ、きゃ!」
「——へ? ぶべらぁ!」
いきなり横から女の子がぶつかって来た。これだけだと、どこぞの恋愛ゲームでありがちな出会い方として一部の人間が「恋愛フラグキタ————!」と叫び散らすだろうが、現実はそう甘くはない(ここも現実じゃないけど)。どうやら俺にぶつかってきたピンク色のショートヘアの少女は短距離走オリンピック選手もビックリな俊足の勢いをキッチリ、残さず、全力で俺にぶつけてきたらしく、少女は可愛らしい声を上げながらその場に倒れるが、俺の方はなんともおもしろい悲鳴を上げながら三メートル程度軽くふっとぶ。何の罰ゲームだ。
辺りにいたNPC達もギョッとして俺と少女を一斉に見比べるが、驚く程の白々しさで何もなかったかのように通りすぎていく。
なるほど。NPC達も「触らぬ神に祟りなし」という言葉を知っているようだ。
「え、あ、えっと……大丈夫ですか?」
「あぁ大丈夫さ☆……とでも言うと思ったか?」
三メートル吹っ飛ぶような衝撃を受けて「大丈夫さ」で済むはずないだろ。なんとか袋に入っているアクセサリーをばら撒かずに済んだけどさ。
「ごめんなさい。ちょっと前見てなくて」
「あんだけの速度で走っていながら前を見ていないとは、どれだけの不注意なんだ」
俺は頭を掻きながら呆れ顔で少女を見る。俺より一つか二つは下に見えるその少女は、俺の態度をどう見たのか何かを探るように俺の顔を至近距離でまじまじと見つめる。え〜とこういう時はなんて言うんだっけ? え〜と……
「ど、ドウシタ〜、俺ノ顔ニ何カ付イテルカ〜?」
「もの凄い棒読みのセリフだね。えっと君、プレイヤーだよね? ここで何してるの?」
「なぜ俺がプレイヤーだと分かったのかはあえて聞かん。ただ仲間を探してるだけだ。それよりお前はなにしてんだ? ……え〜と」
「優だよ。桜木優」
「あ、そう。んじゃ、桜木って呼ぶぞ。それで、桜木は何してんだ? 人を三メートル程ぶっ飛ばす速度で走って、もう治ってるらしいが『そんな怪我を負って』何やってんだ?」
「っ!」
あれ? なんかいきなり驚いた顔でこっちを見てきたぞ? 俺はただ左腕がなんか俺が正影にカッターで斬られた時みたいに赤い線が出てたし、左肩なんか傷はないが一部分だけ服が何かで引き裂かれたように破れているし、それが気になって聞いてみただけなんだけど……
「気付いてたの?」
「いや、気付かないほうがおかしくね?」
桜木は珍しい生き物を見たような表情を見せるが、俺はもう呆れ顔を出すことしかしていない。とりあえず桜木がなにか怪我を負いながら必死になってどこかへ走っていたという事は分かった。俺の推測だと、桜木は誰かの待ち合わせ場所に急いで駆けつけていた。又は桜木は誰かに追われていた。のどちらかと思うんだが、もし後者だと面倒な事になる前にさっさと別れたほうがいいだろう。
ま、もう遅いと思うが。
だって周りのNPCが消えてるし。
「見ぃ〜つけたぁ」
突然聞こえた声と同時に桜木が俺の腕を引っ張り地面に倒す。そして銃声が鳴り響き、俺が先程まで突っ立っていた空間を二発の弾丸が通る。
俺が立ち上がって声のした方を見ると、それぞれの武器を構えた三人が俺達に近づいてきていた。
なるほど、俺巻き込まれた。