ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人生ゲームはデスゲーム ( No.7 )
- 日時: 2011/09/25 22:37
- 名前: No315 (ID: vBUPhhME)
さてと、
今日は張り切って思いっきり書くぞー☆
ここはどこだろう。意識が朦朧としていて、感じられるものが少ない。目を開けようともするが、目を開けるという感覚がない。そしてなにも見えない。
「篠崎さん、聞こえますか」
どうやら、なんとか鼻と耳は機能しているようで、かすかだが誰かの声と、麻酔の臭い。以上のことから推測すると、ここは病院だろう。
おそらく翔が呼んでくれたのだ。
「篠崎さん、聞こえているなら返事をしてください」
はい。
聞こえてますよ。
「良かった、軽く事情をお話します」
なんか「良かった」って言ってるわりには全然無感情な人だなぁ。
たぶん医者だけど。
「あなたは自分が交通事故に遭ったのは覚えてますか」
はい。
覚えてます。
「分かりました。あなたは車に撥ね飛ばされ、両足と右腕、それと腰あたりにいくつかの骨折が見られます。それと外的障害に頭も損傷してしまい、記憶は吹き飛ばなくて済みましたが、数日間は今のような意識が朦朧とした状態になります」
恐ろしいことをサラッと言うな。怖いじゃねぇか。
それにしても、あの子供は無事かな。
あぁ、なんで助けに行ったのかな、俺。
行かなかったらこんなことにはならなかったのに。
「ここまでのことは理解できましたか」
はい、
分かりました。
「それでは、これから手術を始めるわけですが、かなり骨を動かしたりしますので、物凄く痛いと思われます」
だから、恐ろしいことをサラッというなぁ。
しかも骨を動かすって、取り出すの間違いじゃないの?
ま、どっちにしろ、痛いのは変わりないけど。
「そこで、最新麻酔の『デジタルダイブ』を行います」
なんですか、
それ。
「『デジタルダイブ』とは患者の脳神経を操り、我々が作り出した擬似世界に患者を送り出すことです。そこに、五感を持っていくわけですから、手術中の痛みは全くありません。患者には擬似世界で自由に動いてもらい、その間に我々が手術します。まぁ、麻酔というより夢を見るような感じです」
なるほど。
それはいい最先端技術ですね。
今のこの時代は発展してるからなぁ。
「では、これから『デジタルダイブ』を行います。準備はよろしいですか」
もう準備もできてんだなぁ。
これが用意周到ってやつ?
そこまで考えたところで、頭になにかを装着される感触。
そして、ピピッという電子音と操作パネルを操る音。
「わかりました。では……」
どうしてだろう。
先ほどまで無感情だった医者の声が、
物凄く寒気のする声に変わっているような気がする。
ピー、という音と共に、何かが動きだした。
それと同時に、足からだんだん感触が感じれなくなってくる。
それは止まることを知らず、ついには腕さえも、感じれなくなっていく。
「壮大な夢の、いいえ……」
俺は感覚と共に薄れていく意識の中でそれを聞いた。
「壮大な人生の旅を」
そして今に至る。
まぁ俺が目を覚ますと、こんななんもなさそうな密室部屋にピエロが生えていていきなり「ようこそ。我らの人生ゲームへ」なんて言ってきて、しばし硬直したが、とりあえず床から生えて 上半身しか見えないピエロを踏み潰す。
なにごとも行動あるのみ。
「イダ!イダダダダダダダ!待って!ちょっと待っイダダダダ!」
「うるさい」
問答無用とはこのことなり。
「お前は誰だ。ここはどこだ。俺の体はどうなった。ここは本当に擬似世界なのか。以上の質問をすべて十秒以内に答えなさい。配点は一つ五点」
「イダダダダ!待って、そんな一気にイダダダダ!質問されてイダダダ!じ、十秒ってイダダダダ!答えられるわけないだイダダダダ!」
「なるほど、答える気はないか」
俺は踏み潰すのを一時停止。くるりと一回転し、元サッカー部の強烈な回し蹴りをピエロに叩きこもうとするが、
「あぶね!」
ピエロは叫びながら、床からポンッと体を離し、紙一重で俺の回し蹴りをかわした。
俺はその異常な現象に少し目を見開くがすぐにピエロに向かって走り、拳を構え、殴り飛ばそうとする。だがピエロは拳が当たる直前に上体を後ろに下げ、拳をかわす。
俺は、拳の勢いを殺さぬまま、上体を前に崩し、前転のような形で、踵落としを繰り出す。だがそこにピエロの姿はなく、ずいぶん遠くに位置している。
なるほど、やるだけ無駄か。
ピエロは俺が攻撃をやめたのを確認すると、ふぅ、と息を吐き、余裕を持った声で言う。
「いやー強いね僕—。でもまだまだかな?」
なるほど、少しむかつく。
「……いままでの質問に答えられなかったので点数は0。罰ゲームを選ばせてやる。
薄めた硫酸で数日かけて自分の体がじわじわ溶かされていくのと、精神科に行くの、どちらかを選べ。ちなみに前者の方を選ぶともれなくアンパンマン人形がもらえるよ」
「君、ひそかに前者を選ぶことを薦めてるよね」
「なるほど、前者を選ぶか。えーと、どこかに希硫酸とものすごい量の火薬が入ったアンパンマン人形ないかな……」
「人の話聞いてる?まぁいいや」
ピエロは一度、咳払いをし、深々とおじぎをしながら再び余裕を持った声で言う。
その仕草が、またむかつく。
「ようこそ、我らの人生ゲームへ。俺のことは気軽にカーレルとでも呼んでくれ」
「よし分かった。ピエロ」
カーレルという名のピエロはもうなにか諦めたような表情で俺の言葉を綺麗に無視。
「さてと、君はどうしてこんな所にきたのか、詳しく聞かせてくれないかな?」
おそらく答えないと話を進める気がないのだろう。俺もさっさとどんな状況なのか知りたかったのでとりあえず答えてやる。
特別サービスだ。