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Re: みんなで怪談話対決!【ただいま参加者募集中!】 ( No.16 )
日時: 2011/10/07 17:46
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: b1kDOJaF)

短編ホラー小説対決№1 テーマ「病院」

これは、ある女性の、真夜中に起きた話です。






ある廃墟の病院の隣に、若い女性が引っ越してきた。引っ越してきた家は、借家で、手ごろな価格で、通っている大学に近かったので、丁度よかった。
引っ越してきて何日か経った頃、女性は月を見ようと、寝室の窓から外をのぞいた。その窓は病院側で、病院が邪魔をして、月が見えることはあまりない。だが今日は、病院のギリギリ上で、満月がきれいに見え、月明かりが部屋に差し込んでいた。女性は、その月をうっとりと眺めて、ふと、白いものに気づき、病院を見る。すると、廃墟で誰もいないはずの病院の部屋に、灯りがともっていた。誰もいないはずなので、怖くなり、その日は12時くらいまで眠れなかった。
その次の日も、同じ部屋に灯りがともっていた。黒い影が見え、女性は目を凝らす。すると、黒い影は動き、手を振ってきた。そして、影の数が増えて行った。怖くなって目をそらすと、病院の前に人影がたくさんあり、こっちに向かってきた。女性はさらに怖くなり、ベッドにもぐりこんだ。でも、なかなか眠れなかった。
それから何日かして、それほど古くないはずなのに、家が揺れてしているのに気づいた。足音も聞こえ、だんだんと近づいてきているように思えた。声も聴こえてきた。
「わしの腕はどこじゃ……」
「わしの足はどこじゃ……」
「わしの目はどこじゃ……」
「わしの心臓はどこじゃ……」
それが聴こえると、ガタガタ震え始め、青白くなり、それほど寒くないはずなのに、寒気が次の日までおさまらなかった。その日は、恐怖で一睡もできなかった。
女性は耐え切れなくなり、親友を家に呼ぶことにした。その親友には何も知らせず、家に招いた。その夜、親友と眠りに就こうとしたとき、昨日と同じように、家が揺れ始めた。何も知らない親友は、こう聞いた。
「地震?」
でも女性は、これが地震ではないことを知っている。揺れは昨日より酷く、本棚から本が一二冊落ちた。女性は反射的に窓から外をのぞき、病院からこっちに向かって黒い人影が歩いてくるのを見つけた。急いでベッドに戻り、二人は身を寄せ合う。廊下に足音が響き、また、昨日と同じ声が聴こえてきた。でも、少し違った。
「わしの腕はここか……」
「わしの足はここか……」
「わしの目はここか……」
「わしの心臓はここか……」
と、寝室のドアが揺れ始めた。“バーン”という音とともに、ドアがはじけ飛ぶ。二人は目をつぶり、ゆっくりと目を開けた。すると、腕がなかったり、足がなかったり、目をなくしたり、胸がえぐられている白い寝間着を着た人たちがぞろぞろと部屋に入ってきた。でも不思議なことに、足がなくても浮いている。驚いて、目を開けているしかない、というほどに驚く。もう入れないくらいに入ってきたとき、なぜか一斉に二人の方を向いた。そして、低く、とても恐ろしく、この世のものとは思えない声で、こう言った。




「わしの体はこれだ……」





続きは、あなたのご想像にお任せします。