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Re: 皆で短編ホラー小説対決【暮来月 夜道sVSさゑs】 ( No.180 )
日時: 2011/11/26 20:50
名前: 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: KZLToguX)

あ、長いんで夜道でいいです
森林ですか、了解です


 “クマに出会ったら、死んだふりをしろ”

 馬鹿げた考えだと思った。 いま、この瞬間から。
 とある自然保護区の中の、観光ツアー。 クマが出るのは言わなくとも分かる。
 イルカのキーホルダーが付いた大きな紺色のリュックを背負ってこのツアーに参加した。 
 真昼間。 まさか、こんな光景に出くわすなんて思っても見なかった。 
 クマは、冬篭り前になると何でも食べる。 木の幹に点々と付いた赤い跡。
 地面には、十本の棒を引きずったような線。
 推理してみようか? いいや、推理しなくとも。 明らかにこれは人間が“何か”に襲われた形跡であり、この森に人間を襲う何かはクマ以外に無い。 近くの茂みが……大きく揺れた。
 取り敢えず僕は、死んだふりをする。
 しばらくそれが揺れ続き、次の瞬間。 確かに、その茂みからは大きなクマが姿を現した。
 口の周囲に赤い汚れをつけた、大きなヒグマ。 
 ただ、妙な事にこっちに見向きもしなければ、まるでいないように振舞っている。
 ……まさか、死んだふりは有効? 
 クマが立ち去った後、起き上がってようやく分かった。 揺れた茂みの奥で、食われていた。
 もはや丸まって人の形をしていない、“何か”のそばに、転がっていた。
 イルカのキーホルダーの付いた大きな紺色のリュック。
 それはまるで、僕の荷物をそのままソックリそこに置いた様な。
 そんな哀れな犠牲者に、目を取られている間。 僕の後ろを、さっきのクマが素通りした。

 さて、この犠牲者は……一体誰だ?



即興でスイマセン、誤字ありそう