ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.17 )
日時: 2011/11/06 11:06
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

7.迷いは晴れた


「…本当に…。」

やって、しまったんだ。

目の前で流れる殺人事件のニュースを、望美は茫然と見ていた。

「先日、東京都内のマンションで、女性が殺されているのが見受かりました。女性はこの家に住んでいた、篠原麻衣さん 44歳。麻衣さんは…」

望美はあの封筒を取り出し、中の紙を見る。紙の最初に記された女性の名前と情報。


*篠原麻衣

 仕事:OL
 住所:東京都 C市 ○○ 1-9-14 
 10年前に死んだ人:篠原連(夫)


目の前のニュースは、計画が始まったことを物語っていた。

「朔矢…。」

静かに兄の名前を呼ぶ。

「私…。」

私、変なのかな?

私、狂ってるのかな?

朔矢に問えば、きっとこう答える。

ううん、正常だよ。

ううん、当然の心理だよ。

あの笑みを浮かべて、きっとそう答える。

(…私がここでやめると言っても、朔矢はきっと1人で計画を進めるだろう。ならば…どうせなら…)

江梨子さんと、陸斗さんのために。

(…二人で)

あの「遺族たち」に、

(…復讐してやる…)

望美の胸にかかっていた迷いが、完全に晴れた。